望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

レビュー

『サラダ記念日』を改めて初めて読んだ ――言文一致体へ

はじめに あまりにも有名な俵万智さんの『サラダ記念日』 www.kawade.co.jp 1987年に、短歌を一新したエポックメイキングな歌集。 『口語を使った清新な表現で』と紹介文にもあるように、当時は「ああ、短歌はこんなに自然な言葉で作っていいんだ」と、…

宮沢賢治の短歌(序説) ―不定形生命体という主体

はじめに このところ、短歌入門関連の書籍を立て続けに読んでいて、直近に読み終えたのは、この本だった。 www.kadokawa.co.jp 短歌の入門書としてどうか、というのは人それぞれにあうあわないがあるだろう。わたしは、俳句や短歌の入門書を読んで、作りたく…

挟み撃ちをスライスしてなんとなくクリスタルな純度98%の小説 ―『ヴィトゲンシュタインの愛人』 デイヴィッド・マークソン

はじめに 純度の高い小説は燃える。実際、この小説では本や家がよく燃える。そしてそこに残った焼け跡は、焼ける前よりも豊かだ。それは余剰によって豊かなのではなく、消尽によって豊かにされるしかなかった。抉られた傷に再生する肉片がつねに盛り上がるよ…

塚本邦雄『秀吟百趣』メモ 二

前回からの続きです。 飛鳥田孋無公(あすかたれいむこう) さびしさは星をのこせるしぐれかな 霧はれて湖におどろく寒さかな 河の水やはらかし焚火うつりゐる 返り花薄氷のいろになりきりぬ 秋風きよしわが魂を眼にうかべ 昭和五年三十五歳の作。この3年後…

塚本邦雄『秀吟百趣』メモ 一

はじめに 一気に読んで、そのつぶさな鑑賞と審美眼に圧倒された部分をメモしたので、清書の意味で記す。つまり、本ブログに私自身の言葉は無く、すべてこの本からのメモである。 何回かに分けるかもしれない。また、取り上げられた作者別に記していくが、「…

季題を殺す方法が写生だ ―岸本尚毅集より

はじめに セレクション俳人07 岸本尚毅集(邑書林 2003.6.10)を読み、季重なりの多さに吃驚した。だがこれはもちろん意図的だ。 巻末の「散文」の中の「写生と季語のダイナミズム」を読んでいて、季題をどのように考えているかを知った。 今回は…

短歌の作り方、教えてください ―抜書き帳

はじめに www.kadokawa.co.jp 短歌の作り方、という本は、俳句に比べると、あまり読んでいなかった。短歌はどこか、好き勝手作りたい、という思いが強かったせいだ。それでも、手前勝手に作っていると、やはり疑問が湧く。技術的欠点に気づく素地がないため…

執拗な描写に憑かれる ――『カフカの父親』 トンマーゾ・ランドルフィ 雑感

はじめに 本書を読んだ感想を以下のようにまとめた。 しかしそれにしても海外の短編小説のとくにこの修辞のたたみ掛けは苦手だ。まるで文学とは修辞である、というようなものだ。ドイツでもフランスでもロシアでもイタリアでもスペインでもアメリカでも同じ…

キス・キス・キス ―エロスとは変化の自覚の認識である文学

はじめに 今回のブログは、アダルトビデオ作品への言及を含みます。タイトルや、該当作品へのリンク、及び露骨な性的描写などは行いませんが、そういった内容を快く思わない方は閲覧をご遠慮ください。

蛇足 ―世にも奇妙な物語‘20夏の特別編

はじめに このブログは、ネタバレあります。ご注意ください! 毎回、期待しては「残念」だなと思う「世にも奇妙な物語」を見ました。今回のオムニバスは、「配信者」以外、わたしの好みにはまりそうだっただけに、展開が進むにつれて「残念」の感がひとしお…

ソロフェス とてもよかった

はじめに 先日放送になった「ソロフェス」。5時間の放送。リアルタイムでは見られなかったので録画したものをまずは一通り見終えました。 www.youtube.com 司会進行の矢島さん。あいかわらずの女神様でした。52名全メンバー一人ひとりに声をかけて、℃-ute…

「俳句」百年の問い 夏石番矢編 その2

はじめに 寺田寅彦さんの他に、いくつか抜書した箇所ができたのでまとめておきます。全文書き写すべきだが時間切れだったのが、山本健吉さんの「抽象的言語として立つ俳句」です。そこでは、絶対に不可能な「共時性」を俳句表現においてみようとしており、そ…

ありがとうございます。寺田寅彦さん『「俳句」百年の問い』夏石番矢編 メモ

はじめに 実作では全くそれを顕すことができていないにせよ、俳句をどのようなもの捉えているのかについては、だいぶまとまってきた今日この頃。 前回は『俳句の世界』を読んだ感想を書き、今週はもう一冊の方をかこうと思うのですが、まだ全然読めていませ…

『俳句の世界 発生から現代まで』 小西甚一 を読んで

はじめに どこかでだれかがだれかにお勧めしていたのを盗み見て借りて読んだ 『俳句の世界』講談社学術文庫。(もう一冊は読んでいるところ) 借りた本二冊 先日読み終えて、以下の感想を書いた。 「俳句鑑賞に新機軸を拓き、俳句史はこの一冊で十分と絶賛さ…

Are you Happy? ―佐藤優樹さんのつかみ方

Are you Happy? ずっとAre you Happy? がよく分からなかった佐藤優樹さん。 www.youtube.com2018年6月13日発売の両A面シングル「Are you Happy?/A gonna」 が、先日、ブログに書きました。 ameblo.jp 佐藤優樹さんは、物事を決して、抽象的・概念的・一般論…

書字はなぞるを反復する ――『美しい痕跡』のごく一部の感想

はじめに twitterに流れてきた本書。 『美しい痕跡』手書きへの賛歌 フランチェスカ・ビアゼットン著 みすず書房。 私は「手で」(わざわざこのような副詞で修飾することが必要な時代である。本書内ではこれとは別に「紙の」という新しい名詞についても紹介…

あれ? おもしろくないぞ 『タコの心身問題』

はじめに 『レンマ学』(中沢新一)を読んでいて、この本からの引用がありました。私は、脳=腸 を半ば本気で信奉しているフリをしており、その意味で「頭足類」には非常な関心を抱いているとともに、メンダコとコウモリイカには目がないときていますから、…

『磁力と重力の発見 2』 断片メモ

はじめに 『磁力と重力の発見』全三巻を、ときどき読み進めています。いまのところ、『3』の三分の一くらいまできています。ヨハネス・ケプラーを取り上げていて、それが『レンマ学』と交差しているところがおもしろく感じ、ランダムに併読していると、時折…

『レンマ学』から始まるノート 1 ―言語眼鏡による転倒

はじめに 中沢新一さんの『レンマ学』は、とってもお得な一冊だ。なにしろこれは中沢さんの集大成の根本テキストなのだから。 bookclub.kodansha.co.jp その中心には「華厳経」がある。まだぜんぜん途中までしか読んでいないが、私はこんな感想を書いた。 中…

刑事と泥棒 ―相棒18「第十話」とルパン三世「プリズン・オブ・ザ・パスト」感想

今回のブログは、タイトルの二作品に関するネタバレががあります。閲覧注意です。 はじめに 相棒18第10話「杉下右京の秘密」と、金曜ロードショー、ルパン三世「プリズン・オブ・ザ・パスト」を、たまたま同日に見て、どちらも感想を書いておきたくなり…

覚めない悪夢 ――『悪夢探偵』のラスト30分を見て

以下のブログは、2007年の『悪夢探偵』塚本晋也監督の結末部分のネタバレを含みます。ご注意ください。 はじめに 偶然、テレビで見たそれは、見たかった映画だった。理由は、それが「塚本晋也さんの映画」だったからだ。 www.youtube.com 番組表によると…

寺山修司さんの短歌と俳句

はじめに 俳句に関しては俳論的なものを読んだり考えたりしているが、短歌についてはあまり深くは考えず「文」の延長で書いている。五・七・五・七・七 の三十一文字は、心情を吐露し、物語を作るのに適した形式だと思われる。 これは私が好きな短歌作家が、…

MORNING MUSUME DVD MAGAZINE VOL.120 感想

はじめに 予告編から楽しみにしていた、vol.120。15期のみなさんの初DVD。 www.youtube.com 見終えた感想は、この伝説の立体迷路は「ガチすぎた」というものでした。 初参加DVDとしては、12期の「鬼ごっこ、いちご狩り、迷路、作る、食べる、遊ぶ…

Back skippers から A slanting slider へ ――『日本文学の大地』考

はじめに 『日本文学の大地』という中沢新一さんの文庫本を読んでいて不思議だったのは、「なぜ、今日本古典文学を読むのか?」でした。しかし、この本はまさに「今、私が読むべき本だった」と気づいたとき、その疑問は吹き飛んでしまいました。 www.kadokaw…

BEYOOOOONDS アツイね

はじめに プレミアム感 入り口は「ニッポンノ D・N・A」 そして真骨頂の「眼鏡の男の子」 フリ幅としての「Go Waist」 おわりに はじめに 一番初めに、ライブ映像で「眼鏡の男の子」を見たときは、正直、気恥ずかしく、「迷走?」と思っていました。 それ…

「反ー存在」態としての人間 ―『意味の深みへ』を一読して

はじめに 井筒俊彦さんの『意味の深みへ』を一読し、現在は『コスモスとアンチコスモス』にとりかかっている。 この先、何度も読まなければならなくなる著作であり、読むたびに変化を余儀なくされる著作であることから、ここに一読した印象を記しておくこと…

『鼻に挟み撃ち』―保守革新であること 

はじめに 2013年にいとうせいこうさんが『鼻に挟み撃ち』をすばる誌上に発表なさったのを知ってから、とても気になっていました。先日本屋で、集英社文庫の本書を見つけたので、購入してきた次第です。 読後感は、「いとうせいこうさんは真面目な方だな…

『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』 のおもしろいところ

はじめに 紹介されて読みました。『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』 www.intershift.jp 人間の文化・社会は、基本的に「差別」から発生し、その根本原理は、寄生生物、感染症への恐怖による心理的抵抗である。という話がメインで、これはこれでと…

岩波文庫より井筒俊彦さんの著作が立て続けに刊行された狂喜

はじめに 偶然立ち寄った本屋の岩波文庫のコーナーで見つけたのは、図書館の検索で「該当なし」だった、井筒俊彦さんの『神秘哲学 ギリシアの部』だった。そしてその隣には、『意味の深みへ 東洋哲学の水位』と『コスモスとアンチコスモス 東洋哲学のために…

だって~ わたしたち~ アンジュル部ですからぁ~~

はじめに アンジュルム DVD MAGAZINE vol.21 「飛び出せ! アンジュル部!」は、見れば見るほど面白いなと、思います。「学園コント」と銘打ってはおりますが、楽屋やコンサートのMCなどの雰囲気そのまんまという感じがしました。 youtu.be さきごろ、新体…