望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

精霊の王 第七章以降メモとまとめ(『六輪一露之記』を中心に)

はじめに 『国家の原理が作動していない社会に生きるとき、人間にはどんな思考、身体感覚、どのような姿をした超越または内在の感覚がふさわしいのか?』 中沢さんは、「シャグジ=宿神」に、国家の原理によって汚染されていない思考の痕跡を見出そうとして…

精霊の王 第六章までの雑感 (天台本覚とアニミズム)

『精霊の王』中沢新一 講談社 2003.11.20初版 2003.12.19ニ刷 「生命」の問題 禅と密教 仏教は物質を否定する。 解脱とは物質を生み出す運動からの離脱だ。仏教にとって物質とは存在そのものであり、そのように存在を結んでしまった物質を解きほぐし、大いな…

疎外のレベル

はじめに 疎外を帰属によって解消しようとしてはならない。 ① 帰属こそが疎外を産む ② 疎外こそが自由を産む ③ 疎外こそが存在を産む ④ 帰属こそが奴隷を産む からである。 ①帰属こそが疎外を産む 帰属とは集団に従うことである。それは常に個人にって不利な…

ロリペドこもごも ―中勘介とルイス・キャロルとウラジーミル・ナボコフ

はじめに 『ダイアローグ Ⅴ 1990-1994』の、柄谷行人さんと、富岡多恵子さんの対談で、富岡さんが現在、中勘介について書いていることが話題にのぼった。それは主に、「夏目漱石が中勘介を溺愛に近い形で評価していた理由について、柄谷さんの意見を聞きたい…