望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「写真」を「俳句」に置き換えて読む ――ルイジ・ギッリ『写真講義』を読んで

はじめに www.msz.co.jp 捨てられない絵葉書のような、密やかなイメージを撮りつづけた写真家ルイジ・ギッリ(1943-1992)。その何気ない一枚の背後には、イメージに捉われ、イメージを通して思考する理論家ギッリがいる。自らの撮影技術を丁寧に示しながら…

『誰にも聞けない短歌の技法Q&A』 より

はじめに 俳句は悩まない。短歌は悩む。小説は悩むのが楽しいが、短歌で悩むことは苦しい。 だから、さまざまな入門書を読むのだが、結局のところ「なぜ短歌にするのか」という根源的な問いへの答えなど、あるはずはない。 苦しければあきらめればいい。 だ…

手帳の抜書の抜書202101-03 その2

(前回の続き) 『アドルノ 新音楽の哲学』より 音楽は仮象の欠如、すなわち形象をつくらないことによって他の芸術に対して特権をあたえられてはいるが、しかしその特殊な関心事と因襲による支配との倦まざる和解によって、力相応に、市民的芸術作品の仮象的…

手帳の抜書の抜書202101-03 その1

はじめに 抜書しながら本を読む。その場で抜書できなけば付箋を挟んでおいて、あとで抜書する。手帳の抜書は後にノートへまとめて書き写すのだが、ノートに書き写すタイミングを逃している抜書が手帳に溜まってきている。自筆の手書きは時ともに判読不能にな…

コトは切断出来ないということ ―阿部完市と熊谷守一と島田修二

はじめに 前回も引いた以下のサイト。 weekly-haiku.blogspot.com ここに、とても興味深い「俳論」が引用されている。今回のブログはこの論について思ったことを記していく。 1.新しい回路基板の実装 俳句を作る、一句を成就するということは、言葉、言語…