望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

芸術

「詩」以外の『戦後詩』を読む ―『戦後詩 ユリシーズの不在』寺山修司

はじめに 詩について語ることはできない。 詩を理解することができない。わたしは詩を散文のように咀嚼してしまうので。 寺山修司さんが好きだ。『戦後詩』は塚本邦雄さんの短歌を漁っていて見つけた本だ。 前衛短歌。寺山修司さんには、少女詩集もあり、詩…

身体を離れないこと ―『舞踏のもう一つの唄』を読みながら

はじめに モーリス・ベジャールさんだ。 www.shinshokan.co.jp 舞踊、武道、音楽、体操(スポーツ)に関する達人の方々の言葉はとても重要だ。なぜならば、そういう方々は身体を熟知しようとする方々だからだ。 私たちは身体として存在している。この存在の…

隠喩的でない世界などない ―『ヴァレリー芸術と身体の哲学』の「序」を読んで

はじめに 広義における身体による芸術表現を考えるとき、必ず引き合いに出されるのがヴァレリーさんだ。そこで、タイトルの本を借りて読み始めている。 bookclub.kodansha.co.jp 伊東亜紗さんは、『どもる体』も書いており、他にも、私にとって当面、重要な…

「写真」を「俳句」に置き換えて読む ――ルイジ・ギッリ『写真講義』を読んで

はじめに www.msz.co.jp 捨てられない絵葉書のような、密やかなイメージを撮りつづけた写真家ルイジ・ギッリ(1943-1992)。その何気ない一枚の背後には、イメージに捉われ、イメージを通して思考する理論家ギッリがいる。自らの撮影技術を丁寧に示しながら…

手帳の抜書の抜書202101-03 その2

(前回の続き) 『アドルノ 新音楽の哲学』より 音楽は仮象の欠如、すなわち形象をつくらないことによって他の芸術に対して特権をあたえられてはいるが、しかしその特殊な関心事と因襲による支配との倦まざる和解によって、力相応に、市民的芸術作品の仮象的…

コトは切断出来ないということ ―阿部完市と熊谷守一と島田修二

はじめに 前回も引いた以下のサイト。 weekly-haiku.blogspot.com ここに、とても興味深い「俳論」が引用されている。今回のブログはこの論について思ったことを記していく。 1.新しい回路基板の実装 俳句を作る、一句を成就するということは、言葉、言語…

鏡はツルツルだということ ―『鏡と皮膚 芸術のミュトロギュア』

はじめに 本書のタイトルをみて、読まねばと思って読んだ。以下はその感想とまとめ。 www.chikumashobo.co.jp 鏡は皮膚とは違う。見られるモノである、という一点を除いては。 シュミラークルにまつわる議論は、だから退屈だ。むろん本書はそのような退屈さ…

定型が環世界であること

定型詩にせっせと励んでいて感じること。 世界を定型に切り取る。 定型に収めるために取捨選択する選択眼。 針の穴から空を見る、その針の穴を駱駝が通り、ひょうたんから駒が出る。 宇宙と一体化する異次元空間としての定型。 と、これは「他者・対象」を「…

エクリチュールとパロールとローマ字日記

はじめに Hareta Sora ni susamajii Oto wo tatete, hagesii Nishi-Kaze ga huki areta. から始まる石川啄木さんの『ローマ字日記』を借りてきた。 ローマ字で書かれてあるのだから、ローマ字で読むべきであろうと、ローマ字で読んでいる。読み進めるうちに…

『俳句の世界 発生から現代まで』 小西甚一 を読んで

はじめに どこかでだれかがだれかにお勧めしていたのを盗み見て借りて読んだ 『俳句の世界』講談社学術文庫。(もう一冊は読んでいるところ) 借りた本二冊 先日読み終えて、以下の感想を書いた。 「俳句鑑賞に新機軸を拓き、俳句史はこの一冊で十分と絶賛さ…

似てるっ! ――『音楽寅さん』における桑田さんの「似てるっ!」という感嘆詞

はじめに 音楽寅さんという懐かしい番組で、オープニングテーマを作る回を見ていると、桑田さんは、うまくいった! いい! 最高! など肯定的な感極まった時の感嘆詞として「似てるっ!」を用いていた。 これが、「来た」 同様の感嘆詞に「近い!」「来てる…

芸術性の有無を判断する基準 ―静謐な詩情が掠める何か

はじめに 基準はもっていていいと思う。たとえその基準が人それぞれであり互いの基準を互いに受け入れることができず、己の基準を押し付けあうという不毛ないざこざが起ころうとも、「表現に芸術性を見出す基準」は、それぞれが持っていてしかるべきである。…

芸術は「非ー意味」であれ ―『草枕』への往還

はじめに 芸術は「非ー意味」を表現する。 この世界は、張り巡らされた「意味」という、通常であれば堅固な地盤の上に建っているように感じられる。だが、その大地が地震によって揺り動かされるたびに、磐石と感じていた地面が、表層という卵の殻のように薄…