望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

穴埋め問題 ―『短歌の不思議』東直子

はじめに How to 短歌。そこには人それぞれにルールがある。文語か口語かなどの形式的な選択はもとより、短歌の文体について問えば、千差万別の目標と正解例が得られるだろう。だから、人はそれぞれが目指す短歌に沿ったHow to 本を選ばなければならない。「…

オムライス ――あるAV作品のAV部分以外の魅力について

はじめに 今回のブログは、アダルトビデオ作品への言及を含みます。該当作品へのリンク、及び露骨な性的描写などは行いませんが、こういった内容を快く思わない方は閲覧をご遠慮ください。 わけのわからない魅力 『若かりし頃の母親に似てきた娘との性交』と…

短詩のジレンマ ――ツンデレの極北

はじめに 芭蕉は支邦風の思想家で、物質には満足してゐなかつた。しかし、ほろぶことの迅いものに、限りない生命を観たので、地上を愛することが大きかつた。無限を、無限でないものの中で愛した。『調和の詩人』三木露風 上記引用は、今回のブログに直接は…

俳句コレクション 『人妻 92句』

はじめに 俳句のコレクションは楽しい。 そして、将来自分が作りたい俳句のテーマにおいて、類句、類想を避けるための準備にもなる。 わたしは、「団地妻と蒸発夫」をテーマとした俳句集を作ってみたいと思っていて、今回「人妻」に関する俳句を集めてみた。…

依他起性 ―フンボルト(という博物学者という点P)の冒険

はじめに 『フンボルトの冒険 自然という〈生命の網〉の発明』アンドレア・ウルフ著 鍛腹多惠子訳 NHK出版 www.nhk-book.co.jp 古来より、博物学者は蒐集する。整理・分類の情熱は、分けへだてるためではなく、共通点を見出すためである。なぜならば、この蒐…

歌留多遊び ―寺山修司さんの短歌を教材に

はじめに 思想家が陳腐な語や出来合いの表現を自分に禁じようとするのは、それらのせいで精神がなにごとにも驚かなくなり、日常生活が実用的なものとなるからだが、芸術家も同じようにして、不定形な物、つまり独特のかたち(フォルム)をもったものを研究す…

まつすぐな道でさみしい のか ―共感の言語化について

はじめに 大晦日。昨年に続いてtwitter上で #大晦日108首チャレンジに参加した。 今回は徹底的に「今」の気持ちや状況をそのまま出してみた。短歌の態を成していないいないものをTL上に次々と放流し、煩悩を祓う、悩みを祓う、短歌に対する凝り固まった…

波頭の橋頭保としての『認知症世界の歩き方』

これは座右に置くべき、こわい本だ。 wrl.co.jp 唯脳論だとか、唯心論だとか、VRだとか、すべてこの世は虚構だとか、そういう言説は理解できるところもあって、結局は「脳」だよ。という感覚は理解できていたつもりだったのだが、それが現実の、ひじょうに身…

盲目の俳句・短歌集 ―視覚障害者が詠む俳句三百句・短歌二百四十首 発行メタ・ブレーン

はじめに 探していたのだ。目が不自由な方の句集を。 俳句はあまりに視覚偏重にすぎないか、というのがその動機だ。 もしかしたら、言葉(名前)そのものが、視覚的なのかもしれない。声字と書字という観点(という熟語もまた視覚偏重なのだが)から、そう考…

積読リスト2021

はじめに 買ってあるのにまだ読んでない本を積読と呼ぶが、「読みたいと思うがまだ読んでいない本のリスト」も積読なのではないかと思う。新刊ばかりではなく、むしろ古書店や図書館に軸足を置いて「読みたい」本をリストにする。その際に目安になるのは、や…

オーパーツ俳句 ―寺山修司俳句全集から拾う

はじめに 俳句の新しさとは、たとえばこういった俳句に驚くところに感じる 口淫は嘔吐に終はる麦茶かな 星野いのり 起立礼着席青葉風過ぎた 神野紗希 ヒアシンスしあわせがどうしても要る 福田若之 簡単に口説ける共同募金の子 北大路翼 パラフィン紙夏の名…

ブラックリスト8までの感想 ―失敗した贋の終わり(cf.蓮實重彦さん)に始まる可能性

今回のブログはドラマ『ブラックリスト 8』の最終回ネタバレを含みます。ご承知おき下さい。 はじめに ブラックリストというドラマをCSで見ていて、先日、シーズン8の最終回前と最終回を続けて見終えたところだ。 このドラマは当初、ユニークな犯罪者と組織…

詩は俳句の(人の)形に写り込む―『素十全句集 秋』より「月」の俳句より

はじめに 英国式庭園殺人事件(グリーナウェイ監督)では、庭園を写生する絵師が写生機械と化して写生に没頭するあまり、自らが殺人事件の目撃者となっていることにその時は気付かぬまま、その克明な記録を残していたという、重要な要素があったと記憶してい…

2021年9月24日 佐藤優樹さんの卒業発表

卒業までの、そして卒業後の活動を応援し、追いかけていきたいと思います。 雑誌でも書籍でも映像でもラジオでも配信でも音源でも、演出や作詞作曲活動でも、今後もずっと目が離せないです。楽しみです。 以下はメンバーの皆様のブログの抜粋転載です。 モー…

詩はフレーズに宿るか ―『現代短歌の鑑賞101』より

はじめに 現代短歌の鑑賞101はひじょうに読み応えのあるアーカイブである。 www.shinshokan.co.jp明治三十六年生の前川佐美雄さんの「胸のうちいちど空にしてあの青き水仙の葉をつめこみてみたし」から、昭和四十五年生の梅内美華子さんの「蜜蜂が君の肉…

読みながら書くブログ 『俳句入門三十三講』飯田龍太 その3 22~ 33

さらに圧縮して記す 22 前衛と伝統 キリスト教は人間の生きざまを非常にこまやかに、ないしは微妙に、一貫して教えておるように思う。ところが、仏教のほうはというと、生きざまというより死にざまにほうにとりわけ重点を置いておる。 指先の草の匂ひが取…

Hello! Project presents「ソロフェス!2」私的MIP Best 3

はじめに 二回目があるとは思っていなかった「ソロフェス!2」 www.youtube.com 一度目は悲劇。二度目は喜劇といいますが、一回目があったからこそ二回目は、より楽しみでした。かくし芸上等、リベンジ上等。挑戦、深化、イメージチェンジ、なんでもOKな…

読みながら書くブログ 『俳句入門三十三講』飯田龍太 その2 7~ 21

前回からの続き。もっと圧縮しないと終わらないと気付く。 7 独自性と完成度 オリジナリティーはその作品の意匠ではないということを念頭におくことが肝要であり、完成度の高い作品ほど、その底に流れるオリジナルな味わいは強いのだと思う。 冬の滝ひびき…

読みながら書くブログ 『俳句入門三十三講』飯田龍太 はじめに~6

はじめに 読書が捗らない。思うことは多々あれど、読書経験という裏打ちがなければペラペラなブログでしかない。読んでから、書く。の読むができないから書く。も出来ない。そんなときのための「ざっくりさん」であり「メモ」である。だがしかし、書かないと…

ざっくりさん購読11「ミリンダ王の問い」11.第二編第三章の第三

第三 デーヴァダッタは何故に出家を許されたか? ミリンダ王(以下ミ):デーヴァダッタ(以下デーヴ)は誰に影響されて出家したんだっけ?ナーガセーナ(以下ナ):バッディヤ、アヌルッダ、アーナンダ、バグ、キンピラ、デーヴ、そして七人目に床屋のウパ…

ジレンマのアイドル(メモ)

最近思うのは、 アイドルは作詞作曲をしないで、提供された楽曲をプロデューサーやディレクターの要求するクオリティーで歌い、踊ることを求められるのだな、ということだ。 だから、卒業や解散にあたって歌われる歌に彼女達の心情は反映していない、重なっ…

なまなましいなまやさしさ ―松本てふこ句集『汗の果実』読後感

youshorinshop.com はじめに 風物から人物。静物から印象。詩から事実。 松本てふこさんの『汗の果実』という句集には、章立てのようなものがあり、順番に「皮」「種」「汗」「蔕(へた)」となっており、「ブドウ狩り」かしら、などと思うのはこのように書…

北原白秋さんのオノマトペリスト ―短歌の部

前回ブログの続きです。 はじめに 『NHK短歌 新版 作歌のヒント』永田和宏 NHK出版 の中の、「ヒント27」に、「エイッと、オノマトペ」という項があり、そこに「オノマトペといえば北原白秋」というような記述があり、 君かへす朝の舗石のさくさくと雪よ林…

北原白秋さんのオノマトペリスト ―詩歌の部

はじめに 『NHK短歌 新版 作歌のヒント』永田和宏 NHK出版 の中の、「ヒント27」に、「エイッと、オノマトペ」という項があり、そこに「オノマトペといえば北原白秋」というような記述があり、 君かへす朝の舗石のさくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ ;の…

windows7→windows10→Fedora32→Fedora34

なぜかLinuxをさわりたくなった。それは、Vine Linuxが開発終了したという知らせを一か月遅れで目にしたためだったかもしれない。 forest.watch.impress.co.jp 『日系リナックス』という雑誌の付録についていたVine Linuxで、CUIの面倒くささと、楽しさを知…

ざっくりさん講読 10 「ミリンダ王の問い」10.第二編第二章

第二 ブッダは全知者である ミリンダ王(以下ミ):ナーちゃん(ナーガセーナ)。ブッダは全知者なの? ナーガセーナ(以下ナ):そう。でも知識として知ってるんじゃないよ。知ろうとしたことをみんな知るんだよ。 ミ:知ろうとして知るのなら、全知者じゃ…

コレヘトの言葉=伝道の書

はじめに 旧約聖書の「コヘレトの言葉」は名言の宝庫だと聞いた。だが、旧約聖書にそんな「書」があったろうかと検索してみると、かつては「伝道の書」と題されていたものだと分かった。なぜ、名前が変わったのかについてもWikipedeiaに詳しい。 ja.wikipedi…

エマオの食卓 ―色即是空 「業」にあっては「業」に従へ

はじめに 聖書の話を聴く機会が増えた。 今朝は「ルカによる福音書 第二十四章三十節ー三十一節」いわゆる、「エマオでのこと」の話だった。 少し前に、イエス=キリストの復活について書いたとき、この箇所に触れていただろうか。 mochizuki.hatenablog.jp …

川本真琴|川本真琴 ―身体感覚の絶対性と弟への恋情

はじめに 初めて『1/2』のPVをワイドショーで見て www.youtube.com すぐに買いに走った。 川本真琴 1997・6・25 デビューアルバム「川本真琴」 www.sonymusic.co.jp 天才だ。と思った。 そしてこの人は早世なさってしまうのではないかと危ぶんだ。今…

「詩」以外の『戦後詩』を読む ―『戦後詩 ユリシーズの不在』寺山修司

はじめに 詩について語ることはできない。 詩を理解することができない。わたしは詩を散文のように咀嚼してしまうので。 寺山修司さんが好きだ。『戦後詩』は塚本邦雄さんの短歌を漁っていて見つけた本だ。 前衛短歌。寺山修司さんには、少女詩集もあり、詩…