望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

世界認識

北原白秋さんのオノマトペリスト ―短歌の部

前回ブログの続きです。 はじめに 『NHK短歌 新版 作歌のヒント』永田和宏 NHK出版 の中の、「ヒント27」に、「エイッと、オノマトペ」という項があり、そこに「オノマトペといえば北原白秋」というような記述があり、 君かへす朝の舗石のさくさくと雪よ林…

北原白秋さんのオノマトペリスト ―詩歌の部

はじめに 『NHK短歌 新版 作歌のヒント』永田和宏 NHK出版 の中の、「ヒント27」に、「エイッと、オノマトペ」という項があり、そこに「オノマトペといえば北原白秋」というような記述があり、 君かへす朝の舗石のさくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ ;の…

身体を離れないこと ―『舞踏のもう一つの唄』を読みながら

はじめに モーリス・ベジャールさんだ。 www.shinshokan.co.jp 舞踊、武道、音楽、体操(スポーツ)に関する達人の方々の言葉はとても重要だ。なぜならば、そういう方々は身体を熟知しようとする方々だからだ。 私たちは身体として存在している。この存在の…

「写真」を「俳句」に置き換えて読む ――ルイジ・ギッリ『写真講義』を読んで

はじめに www.msz.co.jp 捨てられない絵葉書のような、密やかなイメージを撮りつづけた写真家ルイジ・ギッリ(1943-1992)。その何気ない一枚の背後には、イメージに捉われ、イメージを通して思考する理論家ギッリがいる。自らの撮影技術を丁寧に示しながら…

コトは切断出来ないということ ―阿部完市と熊谷守一と島田修二

はじめに 前回も引いた以下のサイト。 weekly-haiku.blogspot.com ここに、とても興味深い「俳論」が引用されている。今回のブログはこの論について思ったことを記していく。 1.新しい回路基板の実装 俳句を作る、一句を成就するということは、言葉、言語…

宮沢賢治の短歌(序説) ―不定形生命体という主体

はじめに このところ、短歌入門関連の書籍を立て続けに読んでいて、直近に読み終えたのは、この本だった。 www.kadokawa.co.jp 短歌の入門書としてどうか、というのは人それぞれにあうあわないがあるだろう。わたしは、俳句や短歌の入門書を読んで、作りたく…

SDGsの持続と格差

はじめに エシカルがブームになりかけて、途端に静かになり、かわってSDGsが高らかに宣言されたとの感を持つ。 エシカルという包括的で、消費者を操作する運動では、経済発展の足を引っ張りすぎるからだろうと考えている。 SDGsは、消費者より企業側…

『嘔吐』しない佐藤優樹さんに親鸞が召喚されること ―インタビュー『モー娘。楽曲・深読み講座』より

はじめに 今回はこのインタビューを読んで感じたことをまとめるつもりだ。それはつまり、このインタビューをもとに、私が佐藤優樹さんを二次創作する 試みに他ならない。全ての物事は、自らの不透明な体を通してしか、語り得ないからである。 www.fanthology…

定型が環世界であること

定型詩にせっせと励んでいて感じること。 世界を定型に切り取る。 定型に収めるために取捨選択する選択眼。 針の穴から空を見る、その針の穴を駱駝が通り、ひょうたんから駒が出る。 宇宙と一体化する異次元空間としての定型。 と、これは「他者・対象」を「…

連作となる俳句の連続性を担保するもの ――飯田蛇笏さんの「病院と死」

はじめに BFC2の話題がtwitter上で盛んである。 文学は尖がっているべきだと思うので、たいへんに楽しい。 一方、あまり難解なものだと、たとえ6枚とはいえ読み通す気にならない。 読書とは時に忍耐でもある。苦行の果てに行き着く愉楽をヨシとする向き…

『身体の宇宙誌』が驚くべき私のロードマップだったこと

はじめに 『身体の宇宙誌』 鎌田東二著 bookclub.kodansha.co.jp 随分以前、この本を読んだ際には感じなかった興奮を、今の私は禁じえない。 本を読むには時宜がある。 今、私がこのタイミングで本書を読み返すことで、先ごろ書き終えたある小説を跡付け、か…

エクリチュール補完計画 ―身体を超えて身体イメージにしがみつく性

はじめに タイトルに深い中身などない。これはイメージだ。 マスクせる顔面を恋愛対象とするとき、互いに感染リスクを負いながらマスクをはずして濃厚接触者たらんとする覚悟をもてるか否かの判断を迫られる時代にシフトした。 無マスクで唾液を撒き散らす行…

わたしの短歌のつくりかた クロマニョン脳になりたい

はじめに noteの「六枚道場」という文芸サークルに投稿される作品はどれも尖がっていてすばらしいのです。 note.com ことさら、〈詩・短歌・俳句〉部門の常連の方々の、言葉のセレクトに常々やられています。そこでは、形式の表層にとどまりながら逸脱するこ…

実用性とはのりこなす術 ―『磁力と重力の発見3』

はじめに 長いことかかりましたが、読み終えました。『磁力と重力の発見3』 www.msz.co.jp このブログでも、散発的に感想文など書いていました。 mochizuki.hatenablog.jp mochizuki.hatenablog.jp mochizuki.hatenablog.jp 実は、前のほうをほとんど忘れて…

似てるっ! ――『音楽寅さん』における桑田さんの「似てるっ!」という感嘆詞

はじめに 音楽寅さんという懐かしい番組で、オープニングテーマを作る回を見ていると、桑田さんは、うまくいった! いい! 最高! など肯定的な感極まった時の感嘆詞として「似てるっ!」を用いていた。 これが、「来た」 同様の感嘆詞に「近い!」「来てる…

あれ? おもしろくないぞ 『タコの心身問題』

はじめに 『レンマ学』(中沢新一)を読んでいて、この本からの引用がありました。私は、脳=腸 を半ば本気で信奉しているフリをしており、その意味で「頭足類」には非常な関心を抱いているとともに、メンダコとコウモリイカには目がないときていますから、…

SDGsに貨幣は不要

はじめに 昨日、新型コロナ肺炎の感染防止のためのさまざまな要請について、思ったことをつらつらと書いたブログを上げて消した。その結びとして書いたのが以下の文章だった。 社会制度と生命との関係を、見直すべきなのだと思う。呼吸する空気の偏在を正す…

『磁力と重力の発見 2』 断片メモ

はじめに 『磁力と重力の発見』全三巻を、ときどき読み進めています。いまのところ、『3』の三分の一くらいまできています。ヨハネス・ケプラーを取り上げていて、それが『レンマ学』と交差しているところがおもしろく感じ、ランダムに併読していると、時折…

『レンマ学』から始まるノート 1 ―言語眼鏡による転倒

はじめに 中沢新一さんの『レンマ学』は、とってもお得な一冊だ。なにしろこれは中沢さんの集大成の根本テキストなのだから。 bookclub.kodansha.co.jp その中心には「華厳経」がある。まだぜんぜん途中までしか読んでいないが、私はこんな感想を書いた。 中…

自由律俳句の歩き方 ―十重唯識と花鳥諷詠

はじめに 自由律俳句は、作るのに資格がいると思う。 その資格がない人間が作ったものは、単なる短文であり、珍文奇文だ。もちろん、それらの中には、一言ネタとしてはおもしろいものも多いし、「すごい」と思うものも少なくはない。私は、この「すごい」と…

私的華厳 1 物・事・理・法

物・事・理・法 物は時間的で理に依拠して変化する。事は空間的で法に依拠して移動する。 物は事の経時的顕れであり事は物の共時的実相である。 物には境界があり事には流動がある。 理は物によってのみ部分的に顕れ法は事によってのみ部分的に顕れる。 全て…

gut feeling ――『感情とはそもそも何なのか』メモ

はじめに 可能な限り「唯物論」で推していきたい身としては「感情」のメカニズムを勉強することは不可欠だと思っている。 本書『感情とはそもそも何なのか ―現代科学で読み解く感情のしくみと障害』(乾敏郎 ミネルヴァ書房 2018.9.30)は、その意味でとても…

ボトルメールとしての表現 ――誤配されるテキストは感情的に処理され新たなテキストを生む

はじめに ある表現者の表現をテクストとして扱うことは鑑賞者の特権であり、限界でもある。なぜなら、表現者と鑑賞者との間の隔たりは決して埋めることができず、他者と自己とは決して、同一化されないからだ。また、同様に表現者と表現との間にも隔たりは存…

Associationism+LETS ――貨幣は全てを手段にするから

はじめに ときおり、「アソシエーショニズム」について考えているわけですが、やはり理論的にいって、もっとも原理的で先鋭的であるのは柄谷行人さんの「消費協同組合」を軸とした「交換形式による歴史考察から導かれる貨幣揚棄の未来」像なのです。 『批評…

平和(ピンフ)俳句を考える 

はじめに 角川書店の『増補 現代俳句体系 全15巻」を通読して、ふと思いついたのは「平和俳句」です。「へいわ」ではなく「ピンフ」です。さまざまな要素が組み合わさっていながら結果的に「0(=1)」であるような俳句です。 私は写生至上主義ですが、子規さ…

芸術は「非ー意味」であれ ―『草枕』への往還

はじめに 芸術は「非ー意味」を表現する。 この世界は、張り巡らされた「意味」という、通常であれば堅固な地盤の上に建っているように感じられる。だが、その大地が地震によって揺り動かされるたびに、磐石と感じていた地面が、表層という卵の殻のように薄…

言葉と意味と音と無意味

はじめに 分節により「意味」が生じた。ただし、まだそれが「意味するモノ」は生じていなかったし、「意味を表すモノ(音や記号)」なども生じていない状態だった。「そのような『意味』を認識するモノ」も生じておらず、分節された意味の間に序列も生じてい…

時間を止めることと、時間のない世界で移動すること

はじめに 先日、こんなことを書いた。 「真如」もしくは「空」が分節することでこの世は始まりました。 「始まった」というのは文字通り、時を刻み始めた、と言い換えることもできるのですが、この「時を刻む」という観念こそが「分節」されたこの世を起点と…

「反ー存在」態としての人間 ―『意味の深みへ』を一読して

はじめに 井筒俊彦さんの『意味の深みへ』を一読し、現在は『コスモスとアンチコスモス』にとりかかっている。 この先、何度も読まなければならなくなる著作であり、読むたびに変化を余儀なくされる著作であることから、ここに一読した印象を記しておくこと…

理と情の求道者 和田彩花さんの地平本願 卒業コンサート他

はじめに フジテレビTWOで生中継された、『アンジュルム コンサートツアー2019春 ファイナル 和田彩花卒業スペシャル 輪廻転生~あるとき生まれた愛の提唱~』(2019年6月18日(火))を、録画して見ました。 和田さんの、存在感に圧倒されました。楽曲も音も…