望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

寺山修司

語句をシェアしてパズルのように ―意味を窯変させる技法

はじめに 自動生成される俳句や短歌。それらは、語と語のなじみある繋がりを無視できるところに良さがある。日常の脳で、語と語をそのような関係性に置くことは規制されてしまう。この規制が言語ゲームのルールだと思い込まされてしまうネイティブにこそ、ラ…

歌留多遊び ―寺山修司さんの短歌を教材に

はじめに 思想家が陳腐な語や出来合いの表現を自分に禁じようとするのは、それらのせいで精神がなにごとにも驚かなくなり、日常生活が実用的なものとなるからだが、芸術家も同じようにして、不定形な物、つまり独特のかたち(フォルム)をもったものを研究す…

オーパーツ俳句 ―寺山修司俳句全集から拾う

はじめに 俳句の新しさとは、たとえばこういった俳句に驚くところに感じる 口淫は嘔吐に終はる麦茶かな 星野いのり 起立礼着席青葉風過ぎた 神野紗希 ヒアシンスしあわせがどうしても要る 福田若之 簡単に口説ける共同募金の子 北大路翼 パラフィン紙夏の名…

「詩」以外の『戦後詩』を読む ―『戦後詩 ユリシーズの不在』寺山修司

はじめに 詩について語ることはできない。 詩を理解することができない。わたしは詩を散文のように咀嚼してしまうので。 寺山修司さんが好きだ。『戦後詩』は塚本邦雄さんの短歌を漁っていて見つけた本だ。 前衛短歌。寺山修司さんには、少女詩集もあり、詩…

『誰にも聞けない短歌の技法Q&A』 より

はじめに 俳句は悩まない。短歌は悩む。小説は悩むのが楽しいが、短歌で悩むことは苦しい。 だから、さまざまな入門書を読むのだが、結局のところ「なぜ短歌にするのか」という根源的な問いへの答えなど、あるはずはない。 苦しければあきらめればいい。 だ…

寺山修司さんの短歌を五・七・五に還元するという戯言 2 『空には本 冬の斧』

はじめに 今回のブログは、 mochizuki.hatenablog.jp の第二回。『空には本 冬の斧』を考えます。 凡例 底本は『寺山修司青春歌集』角川文庫 平成四年三月十五日改訂初版の「空には本」の、今回は 冬の斧。 基本的に機械的な切り取りと並べ替えによって短歌→…

寺山修司さんの短歌を五・七・五に還元するという戯言 1 『空には本 チエホフ祭』

はじめに 以前、以下のブログを書いた。 mochizuki.hatenablog.jpこの中で、私は ただ、「俳句」であることと「短歌」であること。の境界を寺山さんがどこに置いていたのかと考えてみる。両者は全く別の表現形式であると明言している寺山さん自身が、俳句の…