望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

2022-01-01から1年間の記事一覧

穴埋め問題 ―『短歌の不思議』東直子

はじめに How to 短歌。そこには人それぞれにルールがある。文語か口語かなどの形式的な選択はもとより、短歌の文体について問えば、千差万別の目標と正解例が得られるだろう。だから、人はそれぞれが目指す短歌に沿ったHow to 本を選ばなければならない。「…

オムライス ――あるAV作品のAV部分以外の魅力について

はじめに 今回のブログは、アダルトビデオ作品への言及を含みます。該当作品へのリンク、及び露骨な性的描写などは行いませんが、こういった内容を快く思わない方は閲覧をご遠慮ください。 わけのわからない魅力 『若かりし頃の母親に似てきた娘との性交』と…

短詩のジレンマ ――ツンデレの極北

はじめに 芭蕉は支邦風の思想家で、物質には満足してゐなかつた。しかし、ほろぶことの迅いものに、限りない生命を観たので、地上を愛することが大きかつた。無限を、無限でないものの中で愛した。『調和の詩人』三木露風 上記引用は、今回のブログに直接は…

俳句コレクション 『人妻 92句』

はじめに 俳句のコレクションは楽しい。 そして、将来自分が作りたい俳句のテーマにおいて、類句、類想を避けるための準備にもなる。 わたしは、「団地妻と蒸発夫」をテーマとした俳句集を作ってみたいと思っていて、今回「人妻」に関する俳句を集めてみた。…

依他起性 ―フンボルト(という博物学者という点P)の冒険

はじめに 『フンボルトの冒険 自然という〈生命の網〉の発明』アンドレア・ウルフ著 鍛腹多惠子訳 NHK出版 www.nhk-book.co.jp 古来より、博物学者は蒐集する。整理・分類の情熱は、分けへだてるためではなく、共通点を見出すためである。なぜならば、この蒐…

歌留多遊び ―寺山修司さんの短歌を教材に

はじめに 思想家が陳腐な語や出来合いの表現を自分に禁じようとするのは、それらのせいで精神がなにごとにも驚かなくなり、日常生活が実用的なものとなるからだが、芸術家も同じようにして、不定形な物、つまり独特のかたち(フォルム)をもったものを研究す…

まつすぐな道でさみしい のか ―共感の言語化について

はじめに 大晦日。昨年に続いてtwitter上で #大晦日108首チャレンジに参加した。 今回は徹底的に「今」の気持ちや状況をそのまま出してみた。短歌の態を成していないいないものをTL上に次々と放流し、煩悩を祓う、悩みを祓う、短歌に対する凝り固まった…

波頭の橋頭保としての『認知症世界の歩き方』

これは座右に置くべき、こわい本だ。 wrl.co.jp 唯脳論だとか、唯心論だとか、VRだとか、すべてこの世は虚構だとか、そういう言説は理解できるところもあって、結局は「脳」だよ。という感覚は理解できていたつもりだったのだが、それが現実の、ひじょうに身…