はじめに
疎外を帰属によって解消しようとしてはならない。
① 帰属こそが疎外を産む
② 疎外こそが自由を産む
③ 疎外こそが存在を産む
④ 帰属こそが奴隷を産む
からである。
①帰属こそが疎外を産む
帰属とは集団に従うことである。それは常に個人にって不利な契約である。
帰属とは隷属することである。
帰属機関は負債を生じない限りにおいて、隷属者を庇護するが、優先されるのは帰属機関である(公共の福祉)。
隷属者は義務を負う。この義務は帰属機関に恣意的に課される。ペナルティーもまた同様である。
隷属者は義務の遂行度合いに応じて差別される。それは隷属者間の相互監視のもとで行われる。(世間様。お天道様。)
疎外者が隷属者となっても、疎外は消滅しない。
帰属とは疎外を隠蔽するのみならず、帰属機関への適応貢献度に応じた低レベルの疎外を再生産する。
②疎外こそが自由を産む
絶対疎外だけが唯一であり、事実である。
疎外とは束縛を離れていることである。
疎外は帰属に依拠しないが、孤立は帰属を前提している。
疎外とは単独性の認識に他ならない。
疎外=個である。
個は自らによって自由を保障されている。
③疎外こそが存在を産む
絶対疎外の相対的差異を認めることを存在と認識しうる。
疎外とは存在の本質である。
疎外とは生命の原則であり輪郭である。
疎外とは半開放系の在り方である。
存在のためには帰属は必須ではない。
④帰属こそが奴隷を産む
帰属とは帰属機関への貢献が不能となる(死ぬ)までの隷属である。
疎外として生じ、帰属に搾取され、疎外として死ぬ。
帰属とは相対的であることを偽装しつつ他の選択を困難にする。
帰属はパックであり、部分否定を認めない。
帰属機関は隷属者を労働者として、消費者として、二重に隷属させる。
疎外は疎外以前の記憶をとどめているがゆえに、その記憶が帰属にすりかえられる。
帰属機関は隷属しないものを抹消する。
おわりに
絶対疎外から始まる命にとって他の全ては相対的疎外である。
帰属先に義務を負うことを拒否できない場合、その帰属先は不正である。
疎外者は今のみに存在する。
疎外者は連帯する。
疎外者の連帯は今のためのみに行われ、過去にも未来にも縛られない。