望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

2018-01-01から1年間の記事一覧

笑いながら笑え ―肉体の怪談と論理の怪談

「君が言うのは頭の恐ろしさにすぎない、私が言うのは心臓の恐ろしさだ」夏目漱石『行人』 はじめに 以下に挿入される「怪談」の断片は、人生というTLで見かけた「どなたかの話」です。本来ならば正確な出典を記して引用するべきですが、すべてがうろ覚え…

狩と採集 ―『万引き家族』

はじめに gaga.ne.jp 生計を立てるため、家族ぐるみで軽犯罪を重ねていくうちに、一層強く結ばれる一家。(公式ページの INTRODUCTION より) 万引きは軽犯罪ではありません。 keiji-pro.com 前提 万引きを「される」立場に「も」立つ身としては、「万引き賛…

最高最高 ―滝沢カレンさんと黒柳徹子さん

まずは、お知らせ MORNING MUSUME。 '18 DVD MAGZINE Vol.108を見ていたのですが、MCの「チーズくっせっ! orz」の話をしている、27分29秒あたりに、「こんにちわ」という声が入っています。わりと大きなレベルです。その後にもなにかごにょごにょという声…

「芸人」濱田祐太郎さんの「ネタ」こと

はじめに 濱田さんの立場 もし、彼が目の不自由な方を代表して、介助をする場合の注意点を、「お笑いの形式を借りて」世に広く知らせようという、「啓発」を目的として活動しているのだとしたら、以下のブログは全く無意味だ。 ただ、「がんばってください」…

『人はなぜ日記を書くか』の私的かつ暫定的回答、そして有効な活用法

はじめに 日記という事件 本書にこのタイトルの答えを求めてはならない。なぜなら本書では「日記」ありきの論考しか行われないからだ。そのような姿勢で「日記」を扱うのなら、「日記」を解体するところまでいかねばおもしろくないのだが、本書において「日…

佐藤優樹さんの十一文字 ―『子規の近代』による佐藤優樹さんの「詩」と「美」について

はじめに だがまれにその(共有される言語の空間)全体を攪拌する力を持った個が出現して、言葉のエントロピーを増大させる。その時生まれる混沌に秩序を与えるのは、その言葉の受け手であり、また共有される言語空間の力学である (『子規の近代』秋尾敏 p.…

尊厳死・安楽死・自殺

はじめに 全ての「義務」は外部から与えられた契約の片割れだが、「義務」に見合う「権利」は保証されていない。ならば「義務」は「義務」ではなく単に「命令」であり「無理強い」であり「隷属」の証でしかないのだ。 自然には「義務」などない。「生きるこ…

異邦人から俳人へ カミュ『異邦人』を読んで 

はじめに 新潮文庫の『異邦人』を読み返した。乾いた文を読みたかった。村上龍は生々しすぎる部分があるし、村上春樹は全般的に他人事すぎる。だから、異邦人。 だが、それは第一部の記憶だった。裁判と収監の第二部に至って、文体は、私の求めるそれとはか…

遁走する尾形春水さんの『それから』

はじめに 2018/03/27 NEWSモーニング娘。'18 尾形春水の卒業に関するお知らせ いつもハロー!プロジェクト及びモーニング娘。'18を応援していただきありがとうございます。モーニング娘。'18の尾形春水ですが、今春のコンサートツアー「モーニング娘。誕生20…

「嗤うスピーカー」が「笑う」とき

はじめに www.itmedia.co.jp これをバグととらえても面白くはない。 サーバーに流れ込む環境音、ネット上に存在する膨大な情報を評価し続ける「ディープラーニング」がもたらした果実、と妄想したほうがよほど面白い。そうすれば、「嗤い」という現象は、ひ…

只事ではないタダゴト ―正岡子規さんの俳句

はじめに 何のために、何の意味で、あんな無味平淡なタダゴトの詩を作るのか。作者にとって、それが何の詩情に価するかといふことが、いくら考えても疑問であった。所がこの病気の間、初めて漸くそれが解った。(中略)退屈もそれの境地に安住すれば快楽であ…

新・未来派宣言のシンボルゥ

はじめに 『日本人は思考したか』を読み返し、「空間」と「時間」について書かれている部分がおもしろかった。 日本人の思考は、「あはひ(間)」にあって「調停」と「鎮魂」を本位とした「歌論」にその萌芽を求める。との指摘から、勅撰和歌集による「日本…

『勘の研究』ノート

はじめに 読書メモを、後日参照できるように記録しておく。(文中の《》内は私見。その他は基本的に同書からの要約および抜粋である) ・『勘の研究』講談社学術文庫版 昭和59年9月10日 [原版は 昭和8年刊行] 作者 黒田亮さん。 ・《『意識と本質』(井筒俊…

いくじなしのサディスト ―川端、芥川、太宰、啄木、島崎と、村上龍

はじめに 君のぉ、そして僕とぉ、姉ェ~さんのことわ。とてもいいっ! とてもいい! とてもいい! とてもいい! お・も・い・でっ おもいでっ! おもいでっ! おもいでっつ! ぇだったぁ! よねぇ~~~~ 兄さん! 兄さん! いくぢなしの兄さん。 僕は、君…

「天気組の青春DVD」どまんなかを見送る寂しさ…… ― MORNING MUSUME。'17 DVD MAGAZINE Vol.105

届いた www.youtube.com 初見の印象 このブログは内容バレを含みます。事前情報なくDVDを楽しみたい方は、閲覧をご遠慮ください。 このブログは、このDVDを一昨夜、一通り見たところでの印象です。 予告編をみて期待していたほどではなかったな、とい…

透明な猫などいない ―綴方と写生文

はじめに 『感覚の近代』坪井秀人 2006.2.28初版第一刷 名古屋大学出版会 を読んだ。 そこで初めて「赤い鳥」誌上におきた豊田正子さんの「うさぎモデル」事件を知った。私にとって、この事件は「表現者の主体」について大いに考えさせられるものであった。 …

相田みつをさんの風景画

はじめに 相田みつをについて手探りで調べていった時、まず驚いたのは、相田論とよべるものがないに等しいらしいことだった なぜかくも多くの読者をえながら、相田みつをは論じられることが少ないのか―(後略) KAWADDE夢ムック 相田みつを 奇跡のことば 編…

本性のXX  ー母性愛の非対称性

はじめに 母性愛は、母ー子という絶対的非対称性においてのみ成立する。母の立場が被る不公平さを、「無私の愛」とか「無償の愛」とか「愛の原点」とか「もっとも尊い愛」という風に言い換える社会は、なにかおかしい。というところから、考え始めた。 注意…

たましいのルフラン -すべらない話32弾のこと

はじめに 人志松本のすべらない話32弾。ほぼ一年ぶりの放送。 www.fujitv.co.jp 昨日録画しておいたのを見ました。そして、ある傾向が気になりました。それは、みなさんの エピソードが長すぎる ということです。そして、その原因となったのはおそらく、せい…

青春の光と影 ―横山玲奈さんのこと

はじめに 2016年12月12日加入発表の13期メンバー 横山玲奈さん。 2001年2月22日生まれ。埼玉県出身。イメージカラーは、ゴールドイエロー。特技はアルトサックス演奏、ジャズダンス。チャームポイントは笑顔。趣味はアイドルの曲を聴くこと。(以上プロフィ…

私説 夢と公案 -石原八束さんの(反)写生

はじめに 「私説 現代俳人像 上 倉橋羊村 東京四季出版 平成十年一月一日」を読んでいて、石原八束さんの「反写生の姿勢」について考えた。 慙愧の念 今回のブログでは、この「反写生論」への反駁を試み、「心の内」などという近代的自我を盲目的に信奉する…

気になったこと ―年末年始のテレビより

はじめに 年末年始に録画したテレビ番組を見ていて、感心したことや、心配なことのメモ。 神がかった展開 ―明石家サンタ 一人目の採用ネタから姉妹ネタそして車獲得の流れ。お約束完全網羅職人がハズレを引くまで。さらに、さんまさんをしきる八木さんの手腕…