望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

蛇足 ―世にも奇妙な物語‘20夏の特別編

はじめに  このブログは、ネタバレあります。ご注意ください!

 毎回、期待しては「残念」だなと思う「世にも奇妙な物語」を見ました。今回のオムニバスは、「配信者」以外、わたしの好みにはまりそうだっただけに、展開が進むにつれて「残念」の感がひとしおでした。

 特徴的だったのは「おもしろくなりそう」から「残念」に落ち着くまでの時間が、それぞれの作品によって異なっていたことでした。今回はそのあたりをまとめておこうと思いました。

1.しみ

https://www.fujitv.co.jp/kimyo/topics53.html

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ああ、伊藤潤二さんっぽいなぁ。と思いながら見ていました。そして、伊藤さんならば、女を殺害して、しみをきれいに落として新天地でのデートの後のワインのしみを、手をボロボロにしながら「とれないとれないとれない……」の場面で、終わっていたでしょう。(蛇足として付け加えるならそこに女を殺した畳のしみがあの顔になっている、情景を足すくらいでしょうか)

 今回のお話に則するとしても、脳出血は「のろい」とすべきで、看護師があの女、もしくは白衣にシミがある、シーツにシミがある。くらいにしておいてもらえればとも思いますが、それにしても、蛇足です。

2. 燃えない親父

https://www.fujitv.co.jp/kimyo/topics54.html

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 今回、もっとも期待していたお話でした。

「燃えませんっ!」だけで、一等賞です。

 しかし、それだけでした。あとはなんの面白もない、手垢のついた、「いい話」でしかなく、せめてそこに付随するエピソードをおもしろおかしくすることで、なんとか格好をつけたというだけでした。今回、「出オチ」にしかならなかった、ほとんどすべてが蛇足という、一番残念なお話でした。

3. 3つの願い

https://www.fujitv.co.jp/kimyo/topics55.html

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 わざわざ、タモリさんに「タイムパラドクス」を説明させるというエクスキューズ付のお話。

 冒頭から、「長い。ノロイ。つまらない」と思いながら見ていて、刑事が現れるあたりから、「デスノート」をやりたいのかな、と思って身を入れて見始めると、きちんとした刑事モノを再現したなかなかの良作。

 作中の回想シーンから始めて、その顛末は。という展開なら、世にも奇妙なの王道である、「悪魔の取引」的ショートショートで、オチしだいでは成功したかもしれない素材だなと思いましたが、刑事役の方がなかなか素敵。

 結果、魔人は単に、暇つぶしでこういうことをやっているだけなので、厳格なルールを自らに課す必要もなく、言ったことに整合性がとれていなくても、魔人には関係がないわけで、いくつも矛盾が生じたところで、どうでもいいのだ、ということで、飲み込むしかないという感じでした。

 指輪や妻は他からもってきておいて、五億円と心臓は本人から奪う。五億円を移し変える意味。刑事たちの物語とすれば、死体が出た、まさにここから始めなければならないのにもかかわらず、困惑のみで終わってしまう点が残念でした。この終わりかたならば、刑事モノのシークェンスは不要(容疑者は無関係ということになってしまいましたから。→ これも、魔人の「遊び」だと思えば((五億円はあの強盗事件の五億円で、あのライターの復讐も魔人が仕組んだモノだが、五年も待たされた魔人の気が変わって、彼には恋人を用意して復讐心は忘れてもらった、など))

 この作品における蛇足が、「刑事」になってしまったことが残念でした。

4. 配信者

https://www.fujitv.co.jp/kimyo/topics56.html

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 ストーリーとストーリの間に挟みこまれる「幕間劇」がときおりありますが、この話も、突然、そういうミニストーリーが始まったのかと思いました。

 この話自体が蛇足だったと思います。

 

おわりに

 もうあれは、2016年の春のことだったのだなと、遠い目をしながら、秋こそは、おもしろいといいなと思っています。

 

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