望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

ざっくりさん講読6 「ミリンダ王の問い」6.第五章(pp.197-213)

第一 ブッダの実在証明

ミリンダ王(以下ミ)「ナーちゃんさ、ブッダ見たことある?」

ナーガセーナ(以下ナ)「ないさ」

ミ「じゃ、ナーちゃんの先生は、見た?」

ナ「ううん」

ミ「ブッダって、いないんじゃない」

ナ「そんじゃ、ミーちゃん。ウーハー川って、見たことある?」

ミ「ないよ」

ナ「お父さんはどう?」

ミ「ないと思うけど…」

ナ「じゃ、ウーハー川なんてないんだよ」

ミ「ウーハー川はあるよ!」

ナ「ブッダもいるよ!」

ミ「う~ん」

第二 無上者ブッダの証明(1)

ミ「ブッダは無上者だっていうじゃな~い」

ナ「そうだよ」

ミ「見たこともないのに、なんでそう言えるのさ」

ナ「海を見たことない人って、深いとか広いとか、たくさんの河が流れて込んでるとか、知らないと思う?」

ミ「知ってるだろうね」

ナ「そういうこと」

第三 無上者ブッダの証明(2)

ミ「じゃ、他のみんなも、そのことを知ることはできるだろうか?」

ナ「できるさ」

ミ「どうやって?」

ナ「ティ老人っていう書写師がいたじゃんか、昔」

ミ「ああ。有名だね」

ナ「なんで、みんな知ってるの?」

ミ「書写師だからね。本が残ってるのさ」

ナ「この世界には「法」が残ってるだろ」

ミ「そうか」

第四 真理を見る者はブッダを見る

ミ「ナーちゃんは、『真理』を見た?」

ナ「だから、それに従って、日々暮らしているんじゃないか」

ミ「ふぅーん」

第五 輪廻の主体は転移しない

ミ「人が死んだら、その人の主体が転移するわけじゃないのに、また生まれるっての?」

ナ「そうさ」

ミ「どういうふうに?」

ナ「灯のついた蝋燭から、新しい蝋燭に灯を移すみたいにさ」

ミ「ほかには?」

ナ「ミーちゃんが先生から詩を教わっただろ。それを覚えてるってことは、その詩は、先生の詩が、ミーちゃんに転移したんだって思う?」

ミ「違うさ」

ナ「そういうふうにさ」

ミ「そういうふうにか」

第六 霊魂は認められない

ミ「じゃ、霊魂はっ!?」

ナ「…勝義においては、ないっ!!」

ミ「ハイ…」

第七 転移する他の主体があるか?

ミ「でもさ、何か転移する主体みたいなもんがあるんじゃないの?」

ナ「そういうものはないよ」

ミ「じゃ、悪いことしたって、それは付いてこないってことだよね」

ナ「うん。次の世に生まれてこないのならねっ!」

ミ「どういうこと?」

ナ「ある人が、別のある人が植えたマンゴーの樹になった果実を盗みました。その人を罰しますか?」

ミ「当然だよ」

ナ「でも、その人は、その人が植えたマンゴーの実を盗んだわけじゃないんだよ」

ミ「盗んだマンゴーの実は、他の人が植えたマンゴーの実から生じたものだもの」

ナ「人は、現在の「名」や「体」で、善いことや悪いことをする。そこ(業)から、新しい「名」や「体」が生じるわけだから、悪業はついてくるんだよ」

ミ「そうなっちゃいます…」

第八 業は実在するか?

ミ「業って、どこに溜まってるの?」

ナ「影のように、ついてくるのさ」

ミ「ちょっと、見せてくれない?」

ナ「そういうもんじゃないんだよ」

ミ「どういうこと?」

ナ「樹にまだ実がなってないのに、実を示すことはできないでしょ」

ミ「そうだね」

ナ「個体の連続が断たれないときには、業を示すこともできないんだよ」

ミ「ふぅ~ん」

第九 過去または未来にたいする意識の連続

ミ「また新しく生まれる人って、あ、俺生まれかわるな、って知ってるのかな?

ナ「知ってるさ」

ミ「説明してよ」

ナ「農夫が種を撒いて、雨が適当に降るんだ。農夫は穀物が実ることを知ってるだろ?」

ミ「そうだね」

第十 入滅したブッダの本体

ナ「ブッダは実在するんだよね」

ミ「もちろんさ」

ナ「じゃ、見せてよ」

ミ「完全なねはんを達成したんだから、無理だよ」

ナ「と、いうと?」

ミ「燃えている炎が消えてから、炎を示すなんてできないでしょ」

ナ「炎が消えてるなら無理だね」

ミ「ブッダもね。でも、法は残された。法を身体とするものとしてなら、ブッダを示すことはできるんだよ」

ナ「そうなのか」

以上