望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

ざっくりさん購読11「ミリンダ王の問い」11.第二編第三章の第三

第三 デーヴァダッタは何故に出家を許されたか?

ミリンダ王(以下ミ):デーヴァダッタ(以下デーヴ)は誰に影響されて出家したんだっけ?
ナーガセーナ(以下ナ):バッディヤ、アヌルッダ、アーナンダ、バグ、キンピラ、デーヴ、そして七人目に床屋のウパーリ。みんなブッダが悟って、ワレもワレも釈迦族から出家したんだよ。
ミ:デーヴが出家して。あれ? サンガはそのデーヴがぶっ潰したんじゃなかった?
ナ:そう。サンガは内部からしか破壊されないからさ。
ミ:そんなことしたら、まずいんじゃないの?
ナ:一劫のあいだずっと、苦しむことになったよ。
ミ:ブッダは、そうなるって知ってたんじゃないの?
ナ:もちろん。
ミ:それなら、ブッダはみんなを助けてくれるってわけじゃないんだね。それとも、そうなると知らなかったなら、全知者じゃないってことだね。どう?
ナ:如来は慈悲の人であり全知者さ。デーヴがそうなることは知っていた。それどころか未来永劫、地獄の苦しみを繰り返すことも知っていた。でも出家してブッダの元で修行すれば、それを終わらせることはできる。けれども、その業によって一劫の苦しみを受けることは避けられないってわかっていたんだよ。
ミ:足を折ってから松葉杖をくれる。始めに苦しめてから、その後で楽しみをくれるってことじゃないか。
ナ:ブッダは人々の功徳を増大させるためなら、何だってなさるんだ。デーブの追うべきだった苦しみだって軽くしてくれた。何か、問題でも?
ミ:本当に問題はなかったと?
ナ:もちろん。矢傷を治す外科医がとても痛い薬を塗って傷を化膿させ、その後柔らかくなった傷口を切開し、腐食針で焼き、アルカリの洗浄液を注ぐとき、外科医は患者の利益を考えないというのかい?
ミ:いや。下界は患者の利益を考え、全快させるためにそういうことをしたんだから。
ナ:とても痛い治療だけど、それは問題ではない?
ミ:問題になるわけないよ。
ナ:そういうことさ。
ミ:さすがだね。(p3-11)