望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

ざっくりさん講読2 「ミリンダ王の問い」2.第一章(pp.68-97)

第一 名前の問い

ミリンダ王(ミ)「それで、君、なんて名前?」
ナーガセーナ(ナ)「名前に意味はないよ。そんな名前の者は存在しないんだ」
ミ「え~っ! 8千5万人のみなさ~ん! ナーガセーナなんていないって、言ってますよぉ~。じゃ、みんなが『ナーガセーナぁ~!』って団扇やサイリウム振ってるのは、いったい何なわけ?
 髪の毛? 体毛? 爪? 各種ホルモン? 上腕二等筋? 横隔膜? 脳髄? 感受性? 脳みそ?」
ナ「(ブンブンブン)」
ミ「そんじゃ、そういったものの寄せ集め? それともそれ以外にナーガセーナが、存在するわけ?」
ナ「えっとぉ~。君はモーニング娘。'18 好きだよね」
ミ「え? う、うん。まDDだけどね。それが何んだよ」
ナ「じゃさ。モーニング娘。'18って、どこにあるの? 譜久村聖さんがモーニング娘なの?」

ミ「いや、そういうわけでは…」
ナ「それなら、生田衣梨奈さん? 飯窪春菜さん? 石田亜佑美さん? 佐藤優樹さん? 小田さくらさん? 野中美希さん? 牧野真莉愛さん? 羽賀朱音さん? 加賀楓さん? 横山玲奈さん? 森戸知沙希さん? 彼女たちの誰かがモーニング娘。'18なの?」
ミ「誰かがってわけじゃないし…」
ナ「それなら、彼女たちが一緒にいればモーニング娘。'18っていうこと?」
ミ「そう、だなぁ」
ナ「もし、彼女たちがオーディションに受かっていなくても、何かの偶然で同じ部屋にみんながそろっていたら、それはモーニング娘。'18ってことなの?」
ミ「それは、違うよ。みんながいたって、デビューしてないならね」
ナ「それじゃ、彼女たち以外のところにモーニング娘。'18があるってこと?」
ミ「いや。彼女たち以外にモーニング娘。'18はないさ」
ナ「でも、彼女たち一人一人は、モーニング娘。'18はなかったじゃない? どこにもないモーニング娘。'18のDDだなんて、いったい、君は何を推しているんだい?」
ミ「それは…」
ナ「さあ。もう、分かっているはずだよ。モーニング娘。'18はどのように存在しているのか」
ミ「モーニング娘。'18は、メンバーそれぞれが、モーニング娘。'18としての自覚をもってモーニング娘。'18の一員として一丸となり、モーニング娘。'18のために活動しているところに、現れる現象なんだね」
ナ「僕だってそうさ! でも悟っちゃえばそんなのないんだよ」
ミ「がんばっていきまっしょい!」

第二 年齢の問

ミ「君、いくつ?」
ナ「仏教流にいえば、七つかな」
ミ「そのさ、七って何のこと。君が七なの。それとも七が君なの。君が七倍になるの?」
ナ「あのさ。地面に君の影が映ってるじゃんか。君が影なのかい? それとも影が君なのかい?」
ミ「馬鹿だな。俺がいるから影ができるんだろ」
ナ「七だってそうさ。僕がいるから七ができたんだから」
ミ「なるほどなるほど」

第三 対論のきまり

ミ「もっと対論しようぜ」
ナ「気に入らないことがあっても、『首を刎ねよ』とか『一族郎党皆殺しだ』とか、言わないって約束できるなら」
ミ「うん。そうするよ」
ナ「じゃ、質問して」
ミ「え。もう質問してるよ」
ナ「なら、僕ももう答えたよ」
ミ「え?」
ナ「え?」

第四 ギリシア的霊魂

ミ「(おもしろいけど、もう日が暮れちゃう)」
ミ「(執事に)明日、宮廷で続きやろうって伝えてきて」
ナ「(伝言に応えて)いいよ!」
~その夜、宮廷で
執「ナーガセーナは何人でくるつもりでしょうか?」
ミ「何人でも、好きなだけ連れてくりゃいいじゃん」
執「…十人くらいになりませんかね」
ミ「何人でも(以下同文)」
執「…十人がいいですって」
ミ「何人(以下同文)」
執「…十人だと丁度いいんですが……」
ミ「執事ぃ~。おれが施すんだよぉ!」
執「し、失礼しました」→ナーガセーナへ伝令「何人つれてきても大丈夫デス」
~翌朝 ナーガセーナ8万人つれて登場。宮廷の敷地を案内する従者との会話。
従「ナーガセーナさん。ナーガセーナって何です?」
ナ「君は、どう思うの?」
従「風のように身体に出入りする魂のことだって、習ったよ」
ナ「じゃ、その風が止まったら、死んじゃうってことかい?」
従「う、うん。そうだと思うな」
ナ「トランペット吹いた人の息って、戻ってくるかい?」
従「いいえ」
ナ「オーボエ吹いた人の息は、どう?」
従「いいえ。いいえ」
ナ「じゃ、どうして吹奏楽部員は死なないんだろうね?」
従「えと、なんの話でしたっけ?」
ナ「風、息、呼吸っていうのはね、魂じゃなくて、身体の機能の一つにすぎないってことさ」
従「仏教、すげぇ」

第五 出家の目的

ミリンダ王。八万人に食事を配り終える。
ミ「ふう。じゃ、ナーガセーナと十人だけ残って、あとは帰ってよ」
~仕切りなおして、対論が始まる。
ミ「で、何から始めますか?」
ナ「そうですね。われわれの目的について、とか」
ミ「それでは、出家の目的、なんてどうです?」
ナ「それは、苦労から逃げるためですよ」
ミ「えっ? 全員がそうなの?」
ナ「人生いろいろですからねぇ。でも正しくは、苦を脱するためかな」
ミ「君も、そうだったの?」
ナ「子供のころの話だからなぁ~。でも今は、そう思っているよ」
ミ「なるほど、なるほど」

第六 輪廻するってこと

ミ「輪廻しないものって、ある?」
ナ「する人も、しない人もあるさ」
ミ「どういう人が?」
ナ「煩悩のありなし」
ミ「じゃ、君はどうなの?」
ナ「生きたければするし、生きたくなければしない、な」
ミ「ごもっとも」

第七 輪廻しないってこと

ミ「輪廻しない人って、ちゃんとしてる人?」
ナ「ちゃんと注意して、ちゃんと智慧を身につけて、ちゃんと決まりを守る人」
ミ「ちゃんと注意できるならちゃんと智慧を身につけているってことじゃないの?」
ナ「ぜんっぜん違うよ。注意だけなら猿でもできる。でも智慧はね」
ミ「ごもっとも」

第八 智慧は煩悩を滅する

ミ「注意って何? 智慧って何?」
ナ「左手に麦を持って、右手の鎌で刈るのと同じさ。左手が注意。右手の鎌が智慧
ミ「なるへそ」

第九 智慧を助けるもの ―戒行

ミ「あ、さっきの『ちゃんとした決まり』ってどんなの?」
ナ「五つあるよ。戒行、信仰、精励、専念、心の統一」
ミ「では、戒行、から、説明してどうぞ」
ナ「これが、全ての基盤なんだ。植物をはぐくむ大地」
ミ「もっと喩えて」
ナ「町を作るには、荒地を均して、区画整理するだろ」
ミ「もっと喩えて」
ナ「アクロバットするときは、地面を耕して柔らかくして、怪我しそうなものを取り除けるでしょ」
ミ「だよねぇ」

第十 智慧を助けるもの ―信仰

ミ「次は信仰」
ナ「信仰は、清めることと、飛び込む勇気。かな」
ミ「喩えてよ」
ナ「みんなで川を渡ったあとで、のどが渇いて川の水を飲むときは、浄水装置に通すだろ。心は水で、信仰は浄化装置さ」
ミ「飛び込む勇気は?」
ナ「増水した川を渡るのは怖いでしょ。でも自分の体力や技術を知ったものが、相応の装備をしてその川に飛び込み、渡りきる。それを見て、ほかの人も渡り始めるんだ。相応の装備が信仰だし、ほかの人の背中を押すのも信仰なんだよ」
ミ「ごもっとも。ごもっとも」

第十一 智慧を助けるもの ―精励

ミ「じゃ、精励」
ナ「これは、善を助けることだね」
ミ「じゃ、喩えて」
ナ「耐震補強の梁」
ミ「もっと喩えて」
ナ「大軍に対抗して、小軍が援軍を求め、みんな協力して、大軍に勝ったりすること」
ミ「ふぅ~ん」

第十二 智慧を助けるもの ―専念

ミ「それでは、専念だね」
ナ「これは、列挙と注視なんだ」
ミ「喩えば…」
ナ「王の貸借対照表損益計算書をつくることですかね」
ミ「じゃ、注視は?」
ナ「増収増益に向けて見極める」
ミ「ピコーン!」

第十三 智慧を助けるもの ―心の統一(定)

ミ「あとは、心の統一だね」
ナ「この宮殿の梁は、みんな頂へ集まって、頂を支えているでしょう。そういう感じ」
ミ「もっと喩えて」
ナ「陸海空の各軍はみんな君のために動くだろ。その感じ」
ミ「そりゃ、そうだね」

第十四 智慧を助けるもの ―明知の光

ミ「ねえねえ。で、智慧っていうのは何なの?」
ナ「さっき、切断だって言ったでしょ。あと、照らす光かな」
ミ「なんで、光なの?」
ナ「真っ暗な家を懐中電灯で照らすと、いろいろ見分けられるようになるでしょ」
ミ「そのとおりだね」

第十五 煩悩を断ずるという同一の目的

ミ「あのね、ナーちゃん。いろいろ出てきたけど、目的は一つだよねぇ」
ナ「そう。煩悩を絶つ!」
ミ「我が軍も戦いで敵に打ち勝つという一つの目的のためにあるんだものね」
ナ「そのとおりです。ミー君。そのとおり」

(第一章 終)