望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

R-1にインテリジェンスを!

はじめに

 R1はつまらない。だんだんつまらなくなる。「これ、おもしろいでしょ? センスあるでしょ?」って、なめられている気がする。
 笑ったことに腹が立つ笑い。だから、もうR1は見ていない。

 第一回は座布団に座ったまま、というレギュレーションだったという。キャッチレスリングみたいでいいじゃないか。優勝はだいたひかるだったそうだ。

 話芸で勝負。フリップもなし、効果音もなし。そういう厳しさが必要じゃないか。今の悪乗り宴会芸大会に堕したR1には。

 だいたい、「一人」という括りで競うのはナンセンスだ。ルールのない戦いにおいては、無茶したやつが勝つ。

「うんこの早食いでもやればいい」(by「青い炎」)

自主規制のせいでそこまで行き着くこともできないが。テレビつまんない。

ピン芸というスタイル

 それはあまりに多様だが、ざっと分類して思い入れのある方を列挙する。芸人さんたちは、さまざまなネタをもっている。以下はあくまでも私的に印象深いネタやスタイルによる分類であることをご了承願いたい。(今回は敬称略とする)

話芸

 基本的に徒手空拳でフラッと出てきて話すスタイル。R1の王道。

漫談(キャラ有り・無し)

 かつての長井秀和を推す。「お話させていただきます」から始める気骨。次点でヒロシか。ユリオカ超特Q、アカプルなど。

写真で一言

 木村祐一のライフワーク。一人ゴッツで松本人志が行ってた。見つける技術、写真につっこむ技術。ツッコミなきボケで落とす技術。難しい。

アナウンサー、レポーター風

 九十九一が印象深い。川越ゴエ。越前屋俵太。番外だが、若いころの古舘一郎に参戦してほしかった。あと、厳密にはアナウンサ―風ではないが、ミスター梅介のテイストもここに入るか。決してかまないこと。

演説

 鳥肌実アドルフ・ヒトラー。熱狂的な演説は確実に観衆を魅了する。橋下徹も聞かせる。このカテゴリーの難点は、「笑いどころ」叫ぶ詩人の会もここ。

歌系

 ものまね、絵描き歌、楽器漫談は別に。
 女王、清水ミチコ。その亜流のマキタスポーツ。雨宮。はなわ

ものまね

 似てるだけのモノマネ、歌ウマモノマネ。なんて要らない。
 エンタテーナーとしてダントツなコロッケ。原口あきまさ、コージー富田。そしてここでも清水ミチコ。憑依芸としての松村邦洋

フリップ、ホワイトボード芸

 ピン芸人に大人気の小道具。様々な人が使いますが
 バカリズム厚切りジェイソンケーシー高峰

一人芝居

 先駆者 イッセー尾形。それを追いかけたモロ師岡劇団ひとりがいて、あばれる君はだいぶ落ちる。
 一人コントとの違いは微妙。笑いの質とか、セットの要不要とかで区別。

一人コント(PA有り・無し)

 これは、陣内智則。そして、友近柳原可奈子。レジェンド 柳沢慎吾。そしてここに鳥居みゆきを入れてみる。あと、ゼンジー北京

あるある

 大嫌いだけど、一大勢力を成す。
 ふかわりょう、ここから始まった。反骨の男、つぶやきシローだいたひかる

一発芸(ギャグ、海パン、タイツ、裸)

 大大嫌いだけど現在のR1の主戦場。
 エスパー伊東、江頭2時50分、小島よしお

マジック

R1のルールなら当然参戦すべき。
Mr.マリック。マギー審司ふじいあきら

技術系

 技能を習得した人によるパフォーマンス

パントマイム

 中村有志。あまりテレビで見せてくれないけど。見るたびにおどろく。

腹話術

 いっこく堂。出てみればいいのに。

楽器漫談

 牧伸二ウクレレえいじ。ここは以外と層が薄い。さだまさしなんかいれてもいいかも。

絵描き歌、似顔絵描き

野生爆弾川島のインパクトが大きい。

紙切

名前は思い出せない。演芸場になくてはならない芸。

発砲スチロール切

 ハッポウ君一人。

帽子

星野凡平。後継者はいなかったか。(南京玉すだれ的な枯れた芸ではあるが)

メンタリスト

Daigo。客いじりは、R1ルール的にありか?

催眠術・超能力

 パフォーマー募集中。

伝統芸

落語

 持ち時間が短いため、「まくら」的なものしかできないだろう。
 先代の林家三平のような人。笑福亭鶴瓶の漫談は、落語だと思う。

講談

 時折でてくる。持ち時間の関係があるが、名調子を響かせてみてほしい。
 一龍斎偵水はあの現場に通じるだろうか?

なぞかけ、都都逸、詩吟都逸

 ねずっち。うますぎても笑えない。天津木村おもしろかったのに、協会が許さなかったらしい。もったいない。

怪談

 稲川淳二を筆頭に、怖い話はしゃべりのマストアイテムとなっている。

範囲広すぎ

 当然あげられるべき人、忘れてはならないジャンルはまだまだあるはず。私にとってのR1は、こういう人たちが鎬を削るはずの場だった。私はピン芸が大好きだ。

タモリさんの芸

 密室芸と呼ばれたタモリさんの芸は、現在のR1向きだろう。形態模写、声帯模写。「いいとも」を続けるうちに、「相手をいじる」芸に傾き、今ではすっかり毒の抜けた、物知りおじいさんだけど。
 タモリさんはかつての自分を「江頭2:50みたいなもんだったよ」と述懐している。気持ち悪い芸人。何をするか分からない芸人。だが、何をしているか、何がはまるのかを完璧に分かっていた芸人。

天才の馬鹿、馬鹿の天才

 「今夜は最高」それは、音楽、作家、芸術家たちのサロンで繰り広げられる、天才的な馬鹿の極みであり、インテリジェンスの暴走(馬鹿の天才)であった。
 音楽が先端であった時代。落語家が先端であった時代。当時にR1があったら、とてもおもしろかっただろう。そしてとてもくだらなかっただろう。両極端がそろってこそ、裸にもギャグにも、インテリジェンスが宿るのだ。

インテリジェンスの問題

  その正統的な後継者は、捕まらなければ田代まさしだったのかもしれない。イジリー岡田では弱い。 そして、西川貴教はR1には出ないだろう。陣内孝則筧利夫武田真治などの、おもしろい俳優の系譜にも期待したい。

 笑いのセンスはあらゆるセンスの頂点にくると思う。「天然」はだめだ。「天然」は本人がおもしろさを理解できないからだ。

R1にインテリジェンスを!それは衣類の有無には関係がないことだ。