望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

正義活動漫才 

はい ど~も~ ルークで~す
はい ど~も~ ヨーダで~す
ローグ・ワン風 で~す

はい ど~も~じゃありませんよ、ルークさん。あなた 遅刻ギリギリで入っておいて
まぁまぁ間に合ったんですからいいじゃありませんか ヨーダさん

血相かえて駆け込んできて。そのわりにシャワーなんか浴びちゃって余裕ですね
人間、余裕をもたないと、下手うっちゃいますからね

で、なんで遅れたんです?
え、あの、ちょっと 板橋の母のとこによってお言葉とお守りをもらってたもんですから

え~ あなた占いなんて信じるんですか?
信じやしませんけどね。いろいろ教えてもらったり、言われたとおりにすると、みんなうまくいくもんですからね


もう、どっぷりじゃないですか。洗脳とかやめてくださいよ。で、今回は何て言われました?
えーとですね。たしか、今日は新たな世界が開けるとかなんとか言ってましたね。

なんでうろ覚えなんですか。それを聞きに言ったんじゃないんですか?
いや、まあ、どうせ個人的な事ですから。皆様のような下々のものには 関係が無い話しですから。それよりもですね

なんか、むかつく言い方ですね。まあいいや、なんです
え~ 今日はですね、正義の話しなんかしたいな、なんて思ってるんですけどね
なになに また固い話ですねぇ。もっと笑える話 しましょうよ。漫才なんですから

いや逆にね。逆に、漫才ででもないと、こんな話してられませんよって話ですよ
そこまでいうならいいですよ。で、どんな話があるんです?

 

実は、さっき財布を拾いましてね
あ~ そりゃすぐ警察に届けないといけませんよね みなさん (8割拍手)

ええ。それが正義ですよね、やっぱり
そーですよ

でも、正義って人を幸せにするもんじゃないのかなって、思うんですよ
まぁ、そうですね。みんなのためになるのが正義じゃないですか?

で、財布を届けますとね。財布を落とした人も、拾った人も、不幸になるんです多分
え?そりゃまたどういう?

財布の中身なんですがね。zipロックに入った白いコ……
わぁ~わぁ~わぁ~タイムタイム。ルークさんこれ、生、生放送ですから

えっ これ不味いんですか?
まずいでしょ、タイミング的にも、白い

恋人達ですけど
は?

だから、zipロックに入った、白い恋人達
あ、あ~、そう、そうですね。白いコといえば白い恋人達ですよね

と、コカインがね
わぁ~~~~~~ 言っちゃった。言っちゃったよ。もう駄目ですよ。放送事故ですよ

っていう態で そういう態で
はい。はい。はい。っていう態で聞きましょうね、皆さん。白い恋人達

とコ
いいのいいのいいいの。そこは暈しといて

とゴニョゴニョが小分けで何袋も入ってたわけです。個人ナンバーカードと一緒に
あらあらあら。なんで一緒にしとくんですかねぇ~ バカですね~

で、これ届けると、持ち主がつかまっちゃうじゃないですか
まぁ、そうですけど。市民の義務としては、落し物として届けるのが正義ですよ、やっぱり(8割拍手)

でも、この人、俺の命の恩人なんですよ。それでも届けるべきでしょうかね。(3割拍手)
お~や。そうでしたかぁ~。それはその、ご本人に伝えて、直接自首なさるように説得を(8割拍手)

ええ。そうすべきだと思ったんですけどね。もう死んじゃってるんです(嘆息)
あ~ でも、それなら 逮捕されるってこともないから

お前バカか。名誉ってのがあるだろ。俺の命を救ってくれた見ず知らずの人に対して失礼だぞ 死人に鞭打つようなまねして、なにがうれしいんだ
え? 見ず知らず? とおっしゃった?

ああ。名前も知らない人ですけど?
それで、命の恩人? で、もうなくなっているというのは、どういう?

目の前で撃たれたから
う、た、れ、た、 というと、その雷とか…

撃たれたっつったら、チャカにきまっとるやろがい!
突然、なんで、チンピラ?

仕方なかったんだよ。三人目が抵抗してきたから、何か盾にしないと、こっちがヤバイから…
どんな修羅場ですか


今朝のニュース見てないんだろ。入りが早かったからな、お前。(ざわつく)
楽屋で速報は見たよ。路上で三人刺殺したって事件。そ、それは、つまり、その…

飲み込みが悪い人だな。二人刺したとこで、三人目がチャカ構えたから、通りがかったおじさんを盾にして突進したわけよ。(まばらな拍手)
………
で、逃げるときに、穴があいたポケットから財布が見えたから、拾ってきたってわけ。俺急いでて財布もってなかったからさ
おま、それ窃盗やで

ちがうって、落ちてたんだから。ジャケットと一緒に。ジャケトは血まみれでちょっと、あれだったから、財布だけ拾ってさ。やっぱ、届けるべきだと思う? 届けると多分 私も捕まってしまうんですけどね。(4割拍手)


自首しなさい。ついてってあげるから(8割拍手)
だけど占いによると、私の魂は拘束されることはないだろうって太鼓判をおされてるんですよね

そんなこと占ってもらってたんかい!
ええ、とりあえず出入り口は完全封鎖してありますから、出入りはできませんよ(ざわつく)

そんなことしちゃ駄目ですよ。逃げおおせるものじゃないですよ 今ならまだ…
だって、この生放送に穴あけるわけにいかないでしょう。漫才師なんですから。漫才するのが正義じゃないですか(1割拍手)

それとこれとは違うでしょ。罪は償わないと(6割拍手)
罪? あなた罪っていいました?


人を殺したら罪でしょ。無関係な人まで巻き込んで。(9割拍手)
だけどそいつら、俺の両親を惨殺したくせに証拠不十分で無罪になって、へらへらしてるやつらだったんですよ。

だけど、裁判で無罪だったら… って、なんですって?
当時3歳の俺の証言が取り上げられなかったから、無罪になっただけなんですよ。俺ははっきり見たんですから。忘れられるもんじゃないですよ。あいつこそ正義の名の下に罰を受けるべきだったんです。(3割拍手)

だからといって、相手を殺していいという理由にはなりませんよ。あなたは、警察に任せるべきでした(まばらな拍手)
なに突然右京さんっぽくなってるんですか。三人のうちの一人は警察官だったんだ。あとは、公安と、外務省の…

ストップストップ 住所不定無職って言ってなかったっけ?
我々の調査網を馬鹿にしてもらってはこまりますねぇ

我々って、あなた一体誰なんですか?
あいつらは下手うったから首になった。いくら、俺の親父が例の国と通じて、この国に天然痘を蔓延させる計画に加担してたからって、子供の眼の前で毒物を打つなんて残酷なまねしやがって(4割拍手)

ちょいちょいちょい
なんですか

お前の父さんって、あの、体操教室のパンフレットに載ってた、小太りの、仲本工事みたいな顔の?
そうだよ、文句あるかよ。育ての親のことだからって、馬鹿にされたらおこるぞ。

え~ ちょっと驚愕の真実が次々と暴かれすぎて、風邪引きそうだよ。ってツッコミむ余裕もなくなってるよ。育ての……
だから、あなたもシャワーでもあびて、背中の大きな刀傷でもあたためるくらいの余裕をもつべきだったんですよ

おいっ! お前、いつ見た!
コンビを組んでもう15年。子供のころから同じ舞台に上がってるんですよ。それくらい気付きますよ

じゃ、お前の本当の父親のことも……
分かってるよ。15年。ずっと守っていてくれたんだよね

息子!
パパ!(感動の拍手)

パパは僕を棄てたけど、今度は守ってくれるよね?
すまなかった。父さんのそばにおいておいたらお前の身に危険が及ぶから仕方が無かったんだ

分かるよ。僕のことを考えて、手元から泣く泣く、離したんだってことは(3割拍手)
だが、里子に出した先が、そんなスパイ野郎の一家だったとは…… わかった。お前は悪くない

でもね。父さん
なんだい。マイサン

僕は指名手配犯になったんだよ(アーという絶望的なため息)三人殺したから、死刑もありうるんだよ
この国では、敵討ちは認められていないからなぁ

か・た・き・う・ち? 何言ってるの父さん
だって、お前はお前の育ての親を目の前で毒で殺した警官と公安と外務省のやつを恨んで、今日殺したんだろ(5割拍手)

あ~違いますね。私個人の話にしてもらいたくないですね。私はもっと大きなことのために、あいつらを粛清したのですから
何を言っている?


育ての親、仲本工事たちの計画に不可欠だった天然痘株が、現場から紛失していたことに、当時の警察は気が付かなかった。僕は目の前にいたから、あいつらが持ち出したと知っている。あいつらがいつ、どこでそれを使うのか。私はその計画をある筋から掴んだのさ
ある筋とはどこだ?

板橋の 母だ
そこで、占いかいっ!

母の情報は常に正確だ。KGBだって一目おいているくらいにね
KGB? なぜそこに、その組織がでてくるんだ?

今日、僕が盾にした男に鉛の弾を撃ち込んだのは、トカレフだった。それに、薬物を注射する手口は、やつらお得意の手さ
馬鹿な。いまさら冷戦構造を持ち出したところで、なんのメリットがある?

メリットはいろいろあるさ。ロシアと中国の仮想敵は未だにアメリカ合衆国だからな。日本はそいつらに対する前線基地にほかならない

(ブーイング)
世界各地で相変わらず繰り広げられている戦争はね、民主化という看板を掲げて自由貿易という名の下、原料を安く手にいれ、労働力と市場とを確保しようとする市場原理による争奪戦に過ぎないのだ。あいかわらず、と言っておこうか。そんななか、安く買い叩かれる大多数の意見なんて、ゴミみたいなもんさ。市場は、大資本のためにある。それ以外は、みな養分さ。(9割拍手)

それが今回の話と何の関係があるんだ、マイサン
市場を麻痺させる方法はいくつかあるんだよ トーサン。とくに、大量生産大量消費という自殺行為をとめるのに友好的な方法がね

ジェノサイドか… だがそれを何処で、誰をターゲットにするのかを決定することなど誰にもできない… (ざわつく)
この国の優秀なスーパーコンピューターは二位かもしれないけれども、きちんと仕事をしたんだよ。その結果がリークされた
あいつらは、以前の不手際、つまり僕という人間を残してしまったことに対する責任を負わされたんだ。当時を知る僕が、裁判に立つことを、阻止する。だが、僕は母から聞いてしっていたからね。先手を打ったのさ

先手を?
ああ。ヨーダ。そーだよ

ふふふふふ。ははははは。わぁっははははは
な、なにがおかしいんだ。父さん

お前がどのていど覚醒したのかと思えば、せいぜいその程度か
なんだと

お前が先手というのは、後の先にすぎない。我々のように、先の先をとっているものにとって、その後のことは、全て掌中の出来事(9割5分拍手)
……

なぜ、正義同士がぶつかりあうのか? それはそれぞれの立場が求めるものが違うからだ。簡単なことだな
たしかに。正義とは相対的で主観的なものだ。だが、環境という観点は相対性から抜け出す唯一の視座だ

かわりに、シャア・アズナブルのような極論を招いたのだと思わないかね?
核の冬にして、地球に休んでもらうというやつか。あれは、虚妄だ(ブーイング)

正義同士がぶつかりあう世界に戦争がおこるんだ。全ての原理が正義に基づいている。ならば、正義を一つにまとめればいい(9割5部拍手)
同じ正義を信奉するものだけの世界なら、正義同士がぶつかることはないし、不義がなされた場合らはっきりとそれと判別がつく。違うかね?(熱狂)

狂ってる。あんた狂ってるよ
しばしば異なる正義に殉じて生きようとするものは、狂っているといわれるものだ。それこそ、私たちが私たちの正義に則っていることの証拠だ(大歓声)

だが、それなら、その計画は停滞だな。天然痘株は俺が回収し保管してある
あんなものなら、いくらでもくれてやるよ。パンデミックなどという無理心中に、未来などないからね(歓声)

何を考えているんだ? ヨーダ
その呼び方はもう改めてもらおう。ルーク。いや、親殺しの男よ

何を言っている?

お前が見た背中の刀傷(といいつつ衣装を脱ぐ)よく見てごらん
あっ YKK!

(気ぐるみをぬぐように、ヨーダの中から一人の小太りのおっさんが登場する)(スタンディングオベーション

と、父さん!

お前には失望したよ。お前は私と同じ正義の旗の下に団結してくれるものと信じていたが
何が、何がおきているんだ?

君の目の前で殺されたのは私じゃあない。君の本当の父親だった人だ。わかるかね? 君達の一族にはある特殊な遺伝子が存在している。我々はそれが必要だったのだが、お前の父は実験に耐えられなかった。目の前の注射の記憶は、そのときのものだろう
実験?

今回は、てこずったよ。突然、正義などといいだすから、もしかしたらこちらに共感してくれたのかと、一瞬勘違いしたんだがね
僕は未来の人類にも、我々と平等な環境を残すべきだと考える。そのためには人類は増えすぎているというのも事実だ。このままでは地球は持たない。が、宇宙に出て行くための準備はまだできていないし、それが可能だとしても、貧しきものは、舟には乗れない

福祉と医療をがんばりすぎたね。長生きは正義ではない
だが、エコロジーの名の下に、飢える人々、病に苦しむ人々を見捨てることもまた、正義とはよべないだろう

人は、正義をなさねばならないと、本気で 信じているのかね? 君が今朝、盾にした男は、何に殉じたというのかね?
あの男は、僕というメシアを救ったのだ

ああ。ヨセフにはせいぜいその程度の使い道しかあるまいね
ヨセフ? 馬鹿な。それではあれは…

哀れなものだ。実験に耐え切れず、廃人同様となった挙句に、息子の弾除けでこと切れるとは
偶然… ではないな。 あの場に居合わせた連中、全部 お前達の仕込みか…

正義をなすには、力がいるのだよ。そして、力はそのまま正義となる
そんなもの、認めない。わたしゃ、認めないよ

人の微妙なギャグを雑にパクるのが正義だとでも?
口を慎むんだね。父さん。結局父は息子には勝てないのだから

悪あがきもこれまでにするんだね。君の仲間はここにはいない。無事に出ることはできないよ
ああ。ああ。そうだな。僕の仲間はここにはいない。だから、無事に出ることはできないだろうね

父さん。父さんたちの共同体は、数百単位のコロニーが次々と他を支配していくいわば、帝国主義的な広がりを想定しているはずだ
帝国主義とは、失礼だね。我々は何一つ無理強いはしない。ただ、人々にとって快適な環境を用意できるということをアピールするだけだよ。もちろん、そのための犠牲も隠しはしない。哲学を少々変えるだけさ。正義というのは、つまるところ、権利の範囲の問題に帰着するわけだから

共同体の幸福を追求する。いわば擬似的な閉鎖系を目指すというわけだ。でもね、その外側には数万単位の、まつろわぬ民がいるよ。個人の幸福を追求するために、その時々におうじてユニットを組む、なんら固定しないノマドの群れがね
奴らに何ができる! 象の歩みに小蠅がたかったところで、我々の糞を盗むくらいが関の山だっ!(9割の拍手)

共同体のために命を投げ出す覚悟が、お前達の正義だ。ノマド達が殉ずる唯一のものは、環境でね。その環境を汚染する連中は共通の敵なんだな。これが何を意味するかわかるかい?

俺達の組織化が早いか。
俺達の団結が強いか。

あ、いちおういっとくけどね。ノマドたちだって、丸腰じゃないからね。
何?

あんたがたが僕に仕込んだ例のしくみ、血の爆弾ってやつね。あれも改良が進んでいて、ノマド派はみんな、その遺伝子を取り込むことができる。それも自己責任ってやつでね。俺達を傷つければあんた達はのたうちまわって死ぬことになる。数百単位を引き連れてね。大自然は過酷だからね。

そうか。なかなかの好敵手に育ったものだなわが子よ
父さんも、けっこうやるよ。十五年間もよくもそんな気ぐるみを着込んで

むきだしの正義など、危なくて誰も扱えないさ
そうだね。傘の下でなけりゃ すぐにひからびてしまう

ここを出た時から、我々は
正義をかけた戦争を開始せにゃならんのか

まったくやれやれだな
おたがいさま

ヨーダがルークの胸を裏権でこづく。
ヨーダは手の甲に、ルークは胸に違和感を感じ舞台上に崩れ落ちる。

劇場の扉が蹴り破られ、白い防護服に身を包んだ連中がなだれ込んでくる。

観客の全員が人形であったことに気付き、愕然となる。
舞台上に倒れこむ二人のもとにかけよる防護服の女。

そこには、奈落が口をあけており、倒れこんでいるように見えたのは、二人の衣装が舞台ギリギリのところに積み重ねられていたからだった。

手を上げ、部隊を静止する女。とそこへ館内スピーカーからヨーダとルークのの突っ込みが響き渡る。
「きみとはやっとれんわ」
「いいかげんにしなさい」

その瞬間、劇場内にしかけられた爆弾が爆発。防護服の部隊、コードネーム「白い恋人達」は全滅する。

奈落から通ずる地下通路にて、ヨーダとルーク。

当面の敵にダメージは与えたわけだが
このお守りの中身。ニコチンをしみこませた針を刺したコルク球だよ
全く、母さんの、エラリークイーン好きにもあきれたね
そっちはバーナビー・ロス名義だろ

別れ道。

じゃ、捕まるなよ
お互い様

彼らの正義はどこにある?