望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

仏教

岩波文庫より井筒俊彦さんの著作が立て続けに刊行された狂喜

はじめに 偶然立ち寄った本屋の岩波文庫のコーナーで見つけたのは、図書館の検索で「該当なし」だった、井筒俊彦さんの『神秘哲学 ギリシアの部』だった。そしてその隣には、『意味の深みへ 東洋哲学の水位』と『コスモスとアンチコスモス 東洋哲学のために…

『意識はいつ生まれるのか』―「いつでしょ!」

はじめに 『意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論』は、2015年5月25日に第一刷で、同年7月10日に第三刷までいっている、人気のある本だったらしい。 「いつ生まれるの?」「今でしょ!!」(え~~~~ 今さら……) ……結論からいって、「いつ」…

ざっくりさん講読7 「ミリンダ王の問い」8.第七章 (第一編完)

第一 十六種の記憶形式 ミリンダ王(以下ミ)「記憶っていうのは、いくつの出来方があるのかな?」 ナーガセーナ(以下ナ)「十六種類さ。一個ずつ説明しようか?」 ミ「是非」 ナ「①自覚的回想 ②外部からの助成 ③強烈な印象 ④しめしめ、という気持ち ⑤損し…

真如はなぜ分節する性質を持つのか ―『意識の形而上学』が竜を呼んだこと

はじめに 『東洋哲学覚書 意識の形而上学 ―大乗起信論の哲学』井筒俊彦著 を読んで、新たに拓けた知見について記す。 問題意識 こうした本を読むとき私はいつも以下の問いを解決したいと考えている。 「真如はなぜ分節するのか」 真如の私的定義 私にとって…

ざっくりさん講読6 「ミリンダ王の問い」7.第六章

第一 出家者の身体感 ミリンダ王(以下ミ)「出家した人って身体が資本だと思ってるでしょ」 ナーガセーナ(以下ナ)「べつに」 ミ「でも君ら、けっこう規則正しいヴィーガンっぽいじゃん」 ナ「君はさあ、矢とか刺さったことあるべ」 ミ「戦場においてはね…

不可説不可説転 ―実無限の寒天

はじめに 華厳経が好き。豪奢で華麗だから。 「善悪」とか「仏性」とかにはあまり興味はなくて、華厳経に表れてくる「宇宙」が好き。人間なんてどうでもいい。人間が人間になる以前のことが書いてある部分が好きで、人間が人間でなくなった後が書かれている…

ざっくりさん講読6 「ミリンダ王の問い」6.第五章(pp.197-213)

第一 ブッダの実在証明 ミリンダ王(以下ミ)「ナーちゃんさ、ブッダ見たことある?」 ナーガセーナ(以下ナ)「ないさ」 ミ「じゃ、ナーちゃんの先生は、見た?」 ナ「ううん」 ミ「ブッダって、いないんじゃない」 ナ「そんじゃ、ミーちゃん。ウーハー川っ…

ざっくりさん講読5 「ミリンダ王の問い」5.第四章(pp.177-196)

第一 もろもろの精神作用の協同 ミリンダ王(以下ミ) なんか、これまで色々と「分割」して答えてくれてたけどさ、実際のところ、どうなの? ナーガセーナ(以下ナ) できない相談だね。 ミ じゃ、譬えてみせてもらおうかな ナ 秘伝のスープの複雑な味を、塩…

ざっくりさん講読4 「ミリンダ王の問い」4.第三章(pp.141-176)

第一 永遠なる時間はいかにして成立するか ミリンダ王(以下ミ)「過去とか未来とか現在とか、『時間』ってそもそも何?」 ナーガセーナ(以下ナ)「それはね、いきなり『しりとり』なんだ。しりとりーリンゴーゴリラーラッパーパンダーダンスースイカーカエ…

ざっくりさん講読3 「ミリンダ王の問い」3.第二章(pp.110-140)

第一 無我説は輪廻の観念と矛盾せざるや? ミリンダ王(以下ミ)「生まれ変わったものと死んだものとは同じなの違うの?」 ナーガセーナ(以下ナ)「同じでも異なるものでもないよ」 ミ「たとえば?」 ナ「子供のときの君と今の君とは完全に同じかい?」 ミ…

ざっくりさん講読2 「ミリンダ王の問い」2.第一章(pp.68-97)

第一 名前の問い ミリンダ王(ミ)「それで、君、なんて名前?」ナーガセーナ(ナ)「名前に意味はないよ。そんな名前の者は存在しないんだ」ミ「え~っ! 8千5万人のみなさ~ん! ナーガセーナなんていないって、言ってますよぉ~。じゃ、みんなが『ナー…

ざっくりさん講読1「ミリンダ王の問い」1.序章

はじめに 『ミリンダ王の問い」東洋文庫7 平凡社1988年4月15日初版第22刷をざっくりと講読してみよう。 ギリシア文化の王様がイケイケでインドあたりまで支配して、退屈しのぎに 「仏教」ってどうなの? と、そこらじゅうの教祖を質問攻めにする。…

『渦説』―存在様態としての心霊

はじめに #一行怪談創作部 というtwitterでの創作怪談コンテストへについて、『一行怪談』の作者は「怪談」をこのように定義している。 ただ、応募作品の中には「怪談」となっていないものも含まれていました。「怪談」の恐怖とはなにかと言えば(これも私の…

人間の業の肯定 ―『立川談志遺言大全集』1の1

はじめに これ、刊行時、予約で購入しておりまして、おくづけによれば、第一巻は、2002年1月30日初版発行となっております。 買ったなり、拾い読みすれども、じっくりと熟読しないまま12年半の年月が流れ、あらためてこの夏、精読してみようではないかと思い…

精霊の王 第七章以降メモとまとめ(『六輪一露之記』を中心に)

はじめに 『国家の原理が作動していない社会に生きるとき、人間にはどんな思考、身体感覚、どのような姿をした超越または内在の感覚がふさわしいのか?』 中沢さんは、「シャグジ=宿神」に、国家の原理によって汚染されていない思考の痕跡を見出そうとして…

精霊の王 第六章までの雑感 (天台本覚とアニミズム)

『精霊の王』中沢新一 講談社 2003.11.20初版 2003.12.19ニ刷 「生命」の問題 禅と密教 仏教は物質を否定する。 解脱とは物質を生み出す運動からの離脱だ。仏教にとって物質とは存在そのものであり、そのように存在を結んでしまった物質を解きほぐし、大いな…

尊厳死・安楽死・自殺

はじめに 全ての「義務」は外部から与えられた契約の片割れだが、「義務」に見合う「権利」は保証されていない。ならば「義務」は「義務」ではなく単に「命令」であり「無理強い」であり「隷属」の証でしかないのだ。 自然には「義務」などない。「生きるこ…

「嗤うスピーカー」が「笑う」とき

はじめに www.itmedia.co.jp これをバグととらえても面白くはない。 サーバーに流れ込む環境音、ネット上に存在する膨大な情報を評価し続ける「ディープラーニング」がもたらした果実、と妄想したほうがよほど面白い。そうすれば、「嗤い」という現象は、ひ…

相田みつをさんの風景画

はじめに 相田みつをについて手探りで調べていった時、まず驚いたのは、相田論とよべるものがないに等しいらしいことだった なぜかくも多くの読者をえながら、相田みつをは論じられることが少ないのか―(後略) KAWADDE夢ムック 相田みつを 奇跡のことば 編…

本性のXX  ー母性愛の非対称性

はじめに 母性愛は、母ー子という絶対的非対称性においてのみ成立する。母の立場が被る不公平さを、「無私の愛」とか「無償の愛」とか「愛の原点」とか「もっとも尊い愛」という風に言い換える社会は、なにかおかしい。というところから、考え始めた。 注意…

私説 夢と公案 -石原八束さんの(反)写生

はじめに 「私説 現代俳人像 上 倉橋羊村 東京四季出版 平成十年一月一日」を読んでいて、石原八束さんの「反写生の姿勢」について考えた。 慙愧の念 今回のブログでは、この「反写生論」への反駁を試み、「心の内」などという近代的自我を盲目的に信奉する…

視線往還 ―物への漸近

はじめに 「写生」により「物(存在)」の本質へ近づくための忘備録 年譜 日本「写生文」 1887年 言文一致 二葉亭四迷『浮雲』 1894年 写生(俳句)正岡子規(画家 中村不折より) 1898年 ホトトギス 虚子『浅草の草々』子規『小園の記』 1900年 「日本」誌 …

善悪の此岸 ―神が隠すもの

はじめに 救い(=福祉)を求めるなら神じゃなくて、国や企業に訴えよう。そして、福祉などもとめなくてもよい「神の(国のような)国」を建国すべく立ち上がろうではないかぁ~ 存在に善悪などない これは当然のことだし、そもそも、存在するのに、善悪の区…

泥濘の公理系 ―言語・VR・貨幣

はじめに 「記号は意味を持たない」ここは絶対に譲れない。 意味をもつ記号は言語と呼ばれるべきである。従って、記号が「指示記号」であるなら、それは言語の別名であって「記号」ではない。 「記号」は何をもって「記号」たりうるのか?それは、単なる落書…

虚子のメハニカ ―写生・存門・挨拶

はじめに 正岡子規さんから高浜虚子さんという大道。写生という原理主義から、より過激な花鳥諷詠という保守革新(ここには「美学」の問題がありますが、今回、美学については保留いたしました)。いずれも、主観から客観へ至るメソッドであった。 ここでの…

何をくれるの? ―千日回峰行達成のニュース

はじめに ニュースでやっていて、こういう映像が流れていて…… www.youtube.com で、こういうものがあると聞いて…… www.hieizan.or.jp 何だこれ? と思った。 千日回峰行 千日回峰行は、平安時代、延暦寺の相應和尚(831年~918年、一説に~908年)により開創…

カミーユ、コブラと浦飯、加藤との違い

はじめに いつも「ニュータイプ」のことを考えている。 今日は、アムロ・レイとカミーユ・ビダン両者のニュータイプ表現の違いが気にかかった。そこから、意識、認識、心、念、霊力、超能力、呪術、などが意識を流れていって、「媒介」という論点に至った。…

裏のない世界 ―龍の断面

はじめに ずっと、「裏」のことを考えていた。 「裏」は「裏ー表」の「裏」である限り、結局は表層に露呈しており、「表」と何らかわりがないのではないか。この世界のアクセス可能な面はすべて表であり、表裏とは相対的、まさに「陰日向」の違いのみである…

知識を破らずんば知識を得ず ―蒟蒻問答の敗者

はじめに 蒟蒻問答について ひじょうに印象深い落語。様々なところで採り上げられています。 こちらのブログではとても丁寧に分りやすく紹介なさっていますので、よく知らない方はまずはこちらをご参照ください。 senjiyose.cocolog-nifty.com 大根問答につ…

『中動態の世界』 から得たこと ―自由意思という束縛

はじめに とてもおもしろかった。スピノザさんを読むのに役立った。『探求Ⅱ』(柄谷行人さん)を読み返したくなった。 以下にこの読書で得られたテーマを羅列する。将来の(ブログの)肥やしのために。 ※今回のブログは、引用符外にも、この本から借りてきた…