望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

バックスキッパーズ宣言 ―2018年の逃走論

はじめに 世界は「不思議」だが「謎」ではない。 だが人間は「問」として存在する。「問」は「不思議」を「謎」として探求したいという「業」の「渦」である。 南方曼荼羅 「人間」は「謎」に「答え」を求める。そして闇雲に突っ込んでいく。前のめりに、没…

「どもる体」 ―吃音と抑圧

はじめに twitterで見かけて「読もう」と決めていた本を読み終えた。 医学書院/書籍・電子メディア/どもる体 私がこの本を「いいな」と思ったのは「吃音」を「言葉の問題」ではなく、一貫して「体の問題」として扱っていたところだ。 作者は「こころと体と…

『〈こころ〉はどこから来て、どこへ行くのか』 中沢新一さんの講演メモ

www.iwanami.co.jp はじめに 京都大学の「第一回京都こころ会議(2018.9.13)」の五つの公演をまとめたもの。中沢新一さんが基調講演を行っていたため、読んだ。 印象として、中沢さんは、「脳」と「こころ」とに結びつけられる様々な分野の内容を、普段より…

羽賀朱音さんの文体 ―冷静と情熱との坩堝

はじめに 最年少メンバーとして可愛がられる妹感と、長女のお姉さん感をあわせもち、正義感溢る負けず嫌いな、学級委員長感を発揮しながら、道重さん、普久村さんの跡を継ぐかのごとき、小片さん、工藤さん、石田さんに対するガチ恋ぶりのふり幅。13期横山…

『渦説』―存在様態としての心霊

はじめに #一行怪談創作部 というtwitterでの創作怪談コンテストへについて、『一行怪談』の作者は「怪談」をこのように定義している。 ただ、応募作品の中には「怪談」となっていないものも含まれていました。「怪談」の恐怖とはなにかと言えば(これも私の…

懐かしさの文法に関する雑記

はじめに 「懐かしさ」は奇妙だ。 このことに引っかかり、解明したいと考えている人は多いようで、「懐かしさ」を検索すると、たくさんの検証、感想、ブログが出てくる。 上位に掲載される、yuta suzuki 様の インターネットと広告と空と珈琲と (その後、yu…

人間の業の肯定 ―『立川談志遺言大全集』1の1

はじめに これ、刊行時、予約で購入しておりまして、おくづけによれば、第一巻は、2002年1月30日初版発行となっております。 買ったなり、拾い読みすれども、じっくりと熟読しないまま12年半の年月が流れ、あらためてこの夏、精読してみようではないかと思い…

精霊の王 第七章以降メモとまとめ(『六輪一露之記』を中心に)

はじめに 『国家の原理が作動していない社会に生きるとき、人間にはどんな思考、身体感覚、どのような姿をした超越または内在の感覚がふさわしいのか?』 中沢さんは、「シャグジ=宿神」に、国家の原理によって汚染されていない思考の痕跡を見出そうとして…

精霊の王 第六章までの雑感 (天台本覚とアニミズム)

『精霊の王』中沢新一 講談社 2003.11.20初版 2003.12.19ニ刷 「生命」の問題 禅と密教 仏教は物質を否定する。 解脱とは物質を生み出す運動からの離脱だ。仏教にとって物質とは存在そのものであり、そのように存在を結んでしまった物質を解きほぐし、大いな…

疎外のレベル

はじめに 疎外を帰属によって解消しようとしてはならない。 ① 帰属こそが疎外を産む ② 疎外こそが自由を産む ③ 疎外こそが存在を産む ④ 帰属こそが奴隷を産む からである。 ①帰属こそが疎外を産む 帰属とは集団に従うことである。それは常に個人にって不利な…

ロリペドこもごも ―中勘介とルイス・キャロルとウラジーミル・ナボコフ

はじめに 『ダイアローグ Ⅴ 1990-1994』の、柄谷行人さんと、富岡多恵子さんの対談で、富岡さんが現在、中勘介について書いていることが話題にのぼった。それは主に、「夏目漱石が中勘介を溺愛に近い形で評価していた理由について、柄谷さんの意見を聞きたい…

笑いながら笑え ―肉体の怪談と論理の怪談

「君が言うのは頭の恐ろしさにすぎない、私が言うのは心臓の恐ろしさだ」夏目漱石『行人』 はじめに 以下に挿入される「怪談」の断片は、人生というTLで見かけた「どなたかの話」です。本来ならば正確な出典を記して引用するべきですが、すべてがうろ覚え…

狩と採集 ―『万引き家族』

はじめに gaga.ne.jp 生計を立てるため、家族ぐるみで軽犯罪を重ねていくうちに、一層強く結ばれる一家。(公式ページの INTRODUCTION より) 万引きは軽犯罪ではありません。 keiji-pro.com 前提 万引きを「される」立場に「も」立つ身としては、「万引き賛…

最高最高 ―滝沢カレンさんと黒柳徹子さん

まずは、お知らせ MORNING MUSUME。 '18 DVD MAGZINE Vol.108を見ていたのですが、MCの「チーズくっせっ! orz」の話をしている、27分29秒あたりに、「こんにちわ」という声が入っています。わりと大きなレベルです。その後にもなにかごにょごにょという声…

「芸人」濱田祐太郎さんの「ネタ」こと

はじめに 濱田さんの立場 もし、彼が目の不自由な方を代表して、介助をする場合の注意点を、「お笑いの形式を借りて」世に広く知らせようという、「啓発」を目的として活動しているのだとしたら、以下のブログは全く無意味だ。 ただ、「がんばってください」…

『人はなぜ日記を書くか』の私的かつ暫定的回答、そして有効な活用法

はじめに 日記という事件 本書にこのタイトルの答えを求めてはならない。なぜなら本書では「日記」ありきの論考しか行われないからだ。そのような姿勢で「日記」を扱うのなら、「日記」を解体するところまでいかねばおもしろくないのだが、本書において「日…

佐藤優樹さんの十一文字 ―『子規の近代』による佐藤優樹さんの「詩」と「美」について

はじめに だがまれにその(共有される言語の空間)全体を攪拌する力を持った個が出現して、言葉のエントロピーを増大させる。その時生まれる混沌に秩序を与えるのは、その言葉の受け手であり、また共有される言語空間の力学である (『子規の近代』秋尾敏 p.…

尊厳死・安楽死・自殺

はじめに 全ての「義務」は外部から与えられた契約の片割れだが、「義務」に見合う「権利」は保証されていない。ならば「義務」は「義務」ではなく単に「命令」であり「無理強い」であり「隷属」の証でしかないのだ。 自然には「義務」などない。「生きるこ…

異邦人から俳人へ カミュ『異邦人』を読んで 

はじめに 新潮文庫の『異邦人』を読み返した。乾いた文を読みたかった。村上龍は生々しすぎる部分があるし、村上春樹は全般的に他人事すぎる。だから、異邦人。 だが、それは第一部の記憶だった。裁判と収監の第二部に至って、文体は、私の求めるそれとはか…

遁走する尾形春水さんの『それから』

はじめに 2018/03/27 NEWSモーニング娘。'18 尾形春水の卒業に関するお知らせ いつもハロー!プロジェクト及びモーニング娘。'18を応援していただきありがとうございます。モーニング娘。'18の尾形春水ですが、今春のコンサートツアー「モーニング娘。誕生20…

「嗤うスピーカー」が「笑う」とき

はじめに www.itmedia.co.jp これをバグととらえても面白くはない。 サーバーに流れ込む環境音、ネット上に存在する膨大な情報を評価し続ける「ディープラーニング」がもたらした果実、と妄想したほうがよほど面白い。そうすれば、「嗤い」という現象は、ひ…

只事ではないタダゴト ―正岡子規さんの俳句

はじめに 何のために、何の意味で、あんな無味平淡なタダゴトの詩を作るのか。作者にとって、それが何の詩情に価するかといふことが、いくら考えても疑問であった。所がこの病気の間、初めて漸くそれが解った。(中略)退屈もそれの境地に安住すれば快楽であ…

新・未来派宣言のシンボルゥ

はじめに 『日本人は思考したか』を読み返し、「空間」と「時間」について書かれている部分がおもしろかった。 日本人の思考は、「あはひ(間)」にあって「調停」と「鎮魂」を本位とした「歌論」にその萌芽を求める。との指摘から、勅撰和歌集による「日本…

『勘の研究』ノート

はじめに 読書メモを、後日参照できるように記録しておく。(文中の《》内は私見。その他は基本的に同書からの要約および抜粋である) ・『勘の研究』講談社学術文庫版 昭和59年9月10日 [原版は 昭和8年刊行] 作者 黒田亮さん。 ・《『意識と本質』(井筒俊…

いくじなしのサディスト ―川端、芥川、太宰、啄木、島崎と、村上龍

はじめに 君のぉ、そして僕とぉ、姉ェ~さんのことわ。とてもいいっ! とてもいい! とてもいい! とてもいい! お・も・い・でっ おもいでっ! おもいでっ! おもいでっつ! ぇだったぁ! よねぇ~~~~ 兄さん! 兄さん! いくぢなしの兄さん。 僕は、君…

「天気組の青春DVD」どまんなかを見送る寂しさ…… ― MORNING MUSUME。'17 DVD MAGAZINE Vol.105

届いた www.youtube.com 初見の印象 このブログは内容バレを含みます。事前情報なくDVDを楽しみたい方は、閲覧をご遠慮ください。 このブログは、このDVDを一昨夜、一通り見たところでの印象です。 予告編をみて期待していたほどではなかったな、とい…

透明な猫などいない ―綴方と写生文

はじめに 『感覚の近代』坪井秀人 2006.2.28初版第一刷 名古屋大学出版会 を読んだ。 そこで初めて「赤い鳥」誌上におきた豊田正子さんの「うさぎモデル」事件を知った。私にとって、この事件は「表現者の主体」について大いに考えさせられるものであった。 …

相田みつをさんの風景画

はじめに 相田みつをについて手探りで調べていった時、まず驚いたのは、相田論とよべるものがないに等しいらしいことだった なぜかくも多くの読者をえながら、相田みつをは論じられることが少ないのか―(後略) KAWADDE夢ムック 相田みつを 奇跡のことば 編…

本性のXX  ー母性愛の非対称性

はじめに 母性愛は、母ー子という絶対的非対称性においてのみ成立する。母の立場が被る不公平さを、「無私の愛」とか「無償の愛」とか「愛の原点」とか「もっとも尊い愛」という風に言い換える社会は、なにかおかしい。というところから、考え始めた。 注意…

たましいのルフラン -すべらない話32弾のこと

はじめに 人志松本のすべらない話32弾。ほぼ一年ぶりの放送。 www.fujitv.co.jp 昨日録画しておいたのを見ました。そして、ある傾向が気になりました。それは、みなさんの エピソードが長すぎる ということです。そして、その原因となったのはおそらく、せい…