望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

物証とアリバイ ―13号独房 再び

13号独房の問題アゲイン ヴァン=ドゥーゼン博士は、13号独房を監視するモニター画面に、映っている。が同時に、テレビ画面には生放送で、ハッチンソン記者にインタビューを受けている、ヴァン=ドゥーゼン博士が映し出されている。 所長は部下に指示を…

言語にとって抽象とは何か

はじめに 『増補現代俳句大系』 角川書店 の15巻から遡って俳句を拾い始めた。拾う基準は1.「我」という言葉がないこと 2.感情を表す言葉がないこと 3.「俳句のためにしたこと」を詠んでいないこと 4.なるべく平易な言葉で書かれていること であり…

あるあるではないあるある ―細かすぎて伝わらないモノマネ選手権2018

はじめに 短い一ネタで大爆笑。しかもニッチなところがすばらしい「細かすぎて」です。 今回は、雅楽の方。あれ東儀さんの副音声解説つきで見たかったし、バレエの方、アマレスの方もすばらしいですね。 その道で精進なさってこられて、なんらかの事情で芸人…

余談 ―アンチ物語の物語 『豊饒の海」創作ノート

はじめに どうも。卒業発表後、自信に溢れる飯窪さんが、少し苦手な私です。ソロで活動していく上では、絶対に必要なものですから、そのように「自分」を前面に発信していく姿勢は全く正しいのですが、それが私には、眩しすぎるのだと思います。さぁて、それ…

ざっくりさん講読4 「ミリンダ王の問い」4.第三章(pp.141-176)

第一 永遠なる時間はいかにして成立するか ミリンダ王(以下ミ)「過去とか未来とか現在とか、『時間』ってそもそも何?」 ナーガセーナ(以下ナ)「それはね、いきなり『しりとり』なんだ。しりとりーリンゴーゴリラーラッパーパンダーダンスースイカーカエ…

マゾヒストはイメージに隷属しない ―『なんとなくクリスタル』という唯物論

はじめに で、『なんとなくクリスタル』だ。40年も昔の本を今読むなんて、とってもレトロスペクティブとか思うかもだけど、我々バックスキッパーズとしては温故知新だなんてつもりは毛頭ないわけ。 当時は、「カタログ」だとか「TOKYO Walker」だとか「Hot…

なんとなく比喩語る

はじめに 『なんとなくクリスタル』を読み返し始めて、まあ、面白いこと。まだ本文始まって4ページくらいですが。ブランド名、商品名、曲名、地名など、あらゆる固有名が象徴する「時代」感覚。 当時は、単に「おちゃらけ、表層的、イメージ、ぶちまけられ…

エコラリアス 言語の忘却について ―読書メモ

はじめに 「エコラリアス」という魅惑的な響きを持つこの書籍を読もうとしたきっかけは、本の裏表紙に書かれていた言葉であった 「子どもは言葉を覚えるときに、それ以前の赤ちゃん語を忘れる。そのように言葉はいつも「消えてしまった言葉のエコー」である。…

『フェアトレードビジネスモデルの新たな展開 SDGs時代に向けて』を読んで

はじめに 前回のブログに記した「私的問題項目」を留意しつつ、一読しました。フェアトレードとエシカルトレードとを関連付けた論考はとてもわかりやすく、たどってきた道筋と今後の展望についても明確に記されていました。 SDGs その中に、国連が掲げる2016…

フェアトレードがトレードオフするものとエシカル消費の指標

はじめに 『フェアトレードビジネスモデルの新たな展開 SDGs時代に向けて』 長坂寿久 編/著 明石書店 2018.5.15 を、読み始めるにあたって、現在自分が抱いている「フェアトレード」についての論点をまとめておこうという次第。読後、今回の論点が解決し…

ざっくりさん講読3 「ミリンダ王の問い」3.第二章(pp.110-140)

第一 無我説は輪廻の観念と矛盾せざるや? ミリンダ王(以下ミ)「生まれ変わったものと死んだものとは同じなの違うの?」 ナーガセーナ(以下ナ)「同じでも異なるものでもないよ」 ミ「たとえば?」 ナ「子供のときの君と今の君とは完全に同じかい?」 ミ…

「その女 マリタ」―DVD「ファラオの墓 蛇王スネフェル」

はじめに 石田さんを座長とした初の演劇女子部。メイキング、ゲネプロ会見からも、その「熱さ」がひしひしと伝わってきました。 maidigitv.jp 先日、DVDが届いたので早速観劇。キャストごとの感想を記します。 今回もっとも心に残ったのは生田さんの「マ…

「則天去私」からの「執私側天」 ―現代俳句から思う

はじめに 「現代俳句」と名のつく句集をいろいろと読み漁っております。「現代」とはだいたい、明治後期から昭和中期あたりを指すもののようで、「現代」とは随分とモダンなものだと感じております。作者存命中の「現在」については一体どのようにくくられる…

ざっくりさん講読2 「ミリンダ王の問い」2.第一章(pp.68-97)

第一 名前の問い ミリンダ王(ミ)「それで、君、なんて名前?」ナーガセーナ(ナ)「名前に意味はないよ。そんな名前の者は存在しないんだ」ミ「え~っ! 8千5万人のみなさ~ん! ナーガセーナなんていないって、言ってますよぉ~。じゃ、みんなが『ナー…

ざっくりさん講読1「ミリンダ王の問い」1.序章

はじめに 『ミリンダ王の問い」東洋文庫7 平凡社1988年4月15日初版第22刷をざっくりと講読してみよう。 ギリシア文化の王様がイケイケでインドあたりまで支配して、退屈しのぎに 「仏教」ってどうなの? と、そこらじゅうの教祖を質問攻めにする。…

12ki's Kitchen ―MORNING MUSUME。'18 DVD MAGAZINE Vol.111

以下には、DVDからのキャプチャ画像が含まれます。内容バレ的なことになるおそれがありますので、閲覧の際はご注意ください。

えらびもえらばれもせずとんぼである  ―人として生きるすべ

はじめに 生物はそれぞれの形と生き方とが直結している。移動方式、行動様態、食性、生息域、繁殖様式などは、そのフォルムと切り離すことができない。 それは「制約」である。が一方、そのように身体即環境といえる存在の仕方は、人間の及びもつかぬほど「…

バックスキッパーズ宣言 ―2018年の逃走論

はじめに 世界は「不思議」だが「謎」ではない。 だが人間は「問」として存在する。「問」は「不思議」を「謎」として探求したいという「業」の「渦」である。 南方曼荼羅 「人間」は「謎」に「答え」を求める。そして闇雲に突っ込んでいく。前のめりに、没…

「どもる体」 ―吃音と抑圧

はじめに twitterで見かけて「読もう」と決めていた本を読み終えた。 医学書院/書籍・電子メディア/どもる体 私がこの本を「いいな」と思ったのは「吃音」を「言葉の問題」ではなく、一貫して「体の問題」として扱っていたところだ。 作者は「こころと体と…

『〈こころ〉はどこから来て、どこへ行くのか』 中沢新一さんの講演メモ

www.iwanami.co.jp はじめに 京都大学の「第一回京都こころ会議(2018.9.13)」の五つの公演をまとめたもの。中沢新一さんが基調講演を行っていたため、読んだ。 印象として、中沢さんは、「脳」と「こころ」とに結びつけられる様々な分野の内容を、普段より…

羽賀朱音さんの文体 ―冷静と情熱との坩堝

はじめに 最年少メンバーとして可愛がられる妹感と、長女のお姉さん感をあわせもち、正義感溢る負けず嫌いな、学級委員長感を発揮しながら、道重さん、普久村さんの跡を継ぐかのごとき、小片さん、工藤さん、石田さんに対するガチ恋ぶりのふり幅。13期横山…

『渦説』―存在様態としての心霊

はじめに #一行怪談創作部 というtwitterでの創作怪談コンテストへについて、『一行怪談』の作者は「怪談」をこのように定義している。 ただ、応募作品の中には「怪談」となっていないものも含まれていました。「怪談」の恐怖とはなにかと言えば(これも私の…

懐かしさの文法に関する雑記

はじめに 「懐かしさ」は奇妙だ。 このことに引っかかり、解明したいと考えている人は多いようで、「懐かしさ」を検索すると、たくさんの検証、感想、ブログが出てくる。 上位に掲載される、yuta suzuki 様の インターネットと広告と空と珈琲と (その後、yu…

人間の業の肯定 ―『立川談志遺言大全集』1の1

はじめに これ、刊行時、予約で購入しておりまして、おくづけによれば、第一巻は、2002年1月30日初版発行となっております。 買ったなり、拾い読みすれども、じっくりと熟読しないまま12年半の年月が流れ、あらためてこの夏、精読してみようではないかと思い…

精霊の王 第七章以降メモとまとめ(『六輪一露之記』を中心に)

はじめに 『国家の原理が作動していない社会に生きるとき、人間にはどんな思考、身体感覚、どのような姿をした超越または内在の感覚がふさわしいのか?』 中沢さんは、「シャグジ=宿神」に、国家の原理によって汚染されていない思考の痕跡を見出そうとして…

精霊の王 第六章までの雑感 (天台本覚とアニミズム)

『精霊の王』中沢新一 講談社 2003.11.20初版 2003.12.19ニ刷 「生命」の問題 禅と密教 仏教は物質を否定する。 解脱とは物質を生み出す運動からの離脱だ。仏教にとって物質とは存在そのものであり、そのように存在を結んでしまった物質を解きほぐし、大いな…

疎外のレベル

はじめに 疎外を帰属によって解消しようとしてはならない。 ① 帰属こそが疎外を産む ② 疎外こそが自由を産む ③ 疎外こそが存在を産む ④ 帰属こそが奴隷を産む からである。 ①帰属こそが疎外を産む 帰属とは集団に従うことである。それは常に個人にって不利な…

ロリペドこもごも ―中勘介とルイス・キャロルとウラジーミル・ナボコフ

はじめに 『ダイアローグ Ⅴ 1990-1994』の、柄谷行人さんと、富岡多恵子さんの対談で、富岡さんが現在、中勘介について書いていることが話題にのぼった。それは主に、「夏目漱石が中勘介を溺愛に近い形で評価していた理由について、柄谷さんの意見を聞きたい…

笑いながら笑え ―肉体の怪談と論理の怪談

「君が言うのは頭の恐ろしさにすぎない、私が言うのは心臓の恐ろしさだ」夏目漱石『行人』 はじめに 以下に挿入される「怪談」の断片は、人生というTLで見かけた「どなたかの話」です。本来ならば正確な出典を記して引用するべきですが、すべてがうろ覚え…

狩と採集 ―『万引き家族』

はじめに gaga.ne.jp 生計を立てるため、家族ぐるみで軽犯罪を重ねていくうちに、一層強く結ばれる一家。(公式ページの INTRODUCTION より) 万引きは軽犯罪ではありません。 keiji-pro.com 前提 万引きを「される」立場に「も」立つ身としては、「万引き賛…