望月の蠱惑

enchantMOONに魅了されたので、先人の功績を辿って、自分も月へ到達したい。

芸術性の有無を判断する基準 ―静謐な詩情が掠める何か

はじめに 基準はもっていていいと思う。たとえその基準が人それぞれであり互いの基準を互いに受け入れることができず、己の基準を押し付けあうという不毛ないざこざが起ころうとも、「表現に芸術性を見出す基準」は、それぞれが持っていてしかるべきである。…

MORNING MUSUME DVD MAGAZINE VOL.120 感想

はじめに 予告編から楽しみにしていた、vol.120。15期のみなさんの初DVD。 www.youtube.com 見終えた感想は、この伝説の立体迷路は「ガチすぎた」というものでした。 初参加DVDとしては、12期の「鬼ごっこ、いちご狩り、迷路、作る、食べる、遊ぶ…

平和(ピンフ)俳句を考える 

はじめに 角川書店の『増補 現代俳句体系 全15巻」を通読して、ふと思いついたのは「平和俳句」です。「へいわ」ではなく「ピンフ」です。さまざまな要素が組み合わさっていながら結果的に「0(=1)」であるような俳句です。 私は写生至上主義ですが、子規さ…

Back skippers から A slanting slider へ ――『日本文学の大地』考

はじめに 『日本文学の大地』という中沢新一さんの文庫本を読んでいて不思議だったのは、「なぜ、今日本古典文学を読むのか?」でした。しかし、この本はまさに「今、私が読むべき本だった」と気づいたとき、その疑問は吹き飛んでしまいました。 www.kadokaw…

仏教にとって移動とは何か ―無常といふこと

はじめに 「一所不在の業があるから大変だよ」と『ブッダの方舟』で中沢新一さんが話していた。私はこのような業を「無常」を感ずるための業なのではないかと考えている。 蝶のように舞い 一つのところにとどまらず、絶えず移動し続けることは、ボクシングの…

芸術は「非ー意味」であれ ―『草枕』への往還

はじめに 芸術は「非ー意味」を表現する。 この世界は、張り巡らされた「意味」という、通常であれば堅固な地盤の上に建っているように感じられる。だが、その大地が地震によって揺り動かされるたびに、磐石と感じていた地面が、表層という卵の殻のように薄…

ざっくりさん講読 8 「ミリンダ王の問い」9.第二編 序

問の根拠 とても賢いがゆえにドチテ坊やのミリンダ王は、質問攻めにしようとナーガセーナを訪れて、思う存分質問して、とても賢くなった。でも、賢くなった分さらに、ドチテが膨らんだ。 ブッダの教えは、順番に説明されたり、関連を説いたり、真理そのもの…

言葉と意味と音と無意味

はじめに 分節により「意味」が生じた。ただし、まだそれが「意味するモノ」は生じていなかったし、「意味を表すモノ(音や記号)」なども生じていない状態だった。「そのような『意味』を認識するモノ」も生じておらず、分節された意味の間に序列も生じてい…

時間を止めることと、時間のない世界で移動すること

はじめに 先日、こんなことを書いた。 「真如」もしくは「空」が分節することでこの世は始まりました。 「始まった」というのは文字通り、時を刻み始めた、と言い換えることもできるのですが、この「時を刻む」という観念こそが「分節」されたこの世を起点と…

小説となるべき差異の在り処 ―すべらない話 20190727 大悟(千鳥)さんの島の話

はじめに このブログには、以下の番組についてのネタバレがあります。ご注意ください。 小林メロディーさん。声がよくておもしろかったですね。淡々と話していくスタイルが好きです。 稲田さん。絶対に「顔いじり自虐」なのですが、そのバリエーションの豊富…

BEYOOOOONDS アツイね

はじめに プレミアム感 入り口は「ニッポンノ D・N・A」 そして真骨頂の「眼鏡の男の子」 フリ幅としての「Go Waist」 おわりに はじめに 一番初めに、ライブ映像で「眼鏡の男の子」を見たときは、正直、気恥ずかしく、「迷走?」と思っていました。 それ…

「反ー存在」態としての人間 ―『意味の深みへ』を一読して

はじめに 井筒俊彦さんの『意味の深みへ』を一読し、現在は『コスモスとアンチコスモス』にとりかかっている。 この先、何度も読まなければならなくなる著作であり、読むたびに変化を余儀なくされる著作であることから、ここに一読した印象を記しておくこと…

着衣せる霊体に関する考察1

はじめに 心霊写真、心霊ビデオ。そこに写っている、または映っている、霊体はそのほとんどが着衣姿である。ほとんど、というか、ヌードの心霊写真というものを見た記憶がない。 心霊はなぜ着衣しているのか? 衣服までもが霊体と化すのは何故か? 先日、こ…

理解するな、信仰せよ ──比喩としてのキリスト教

はじめに 『ブッダの方舟』に常に立ち返る。仏教という智慧と自分との距離の指標となる本だからだ。 あなたは赦されている この本の中に『キリスト教は「believe」によって成り立つ特異な宗教で、このbelieveに相当する日本語というものはない』というような…

『鼻に挟み撃ち』―保守革新であること 

はじめに 2013年にいとうせいこうさんが『鼻に挟み撃ち』をすばる誌上に発表なさったのを知ってから、とても気になっていました。先日本屋で、集英社文庫の本書を見つけたので、購入してきた次第です。 読後感は、「いとうせいこうさんは真面目な方だな…

『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』 のおもしろいところ

はじめに 紹介されて読みました。『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』 www.intershift.jp 人間の文化・社会は、基本的に「差別」から発生し、その根本原理は、寄生生物、感染症への恐怖による心理的抵抗である。という話がメインで、これはこれでと…

理と情の求道者 和田彩花さんの地平本願 卒業コンサート他

はじめに フジテレビTWOで生中継された、『アンジュルム コンサートツアー2019春 ファイナル 和田彩花卒業スペシャル 輪廻転生~あるとき生まれた愛の提唱~』(2019年6月18日(火))を、録画して見ました。 和田さんの、存在感に圧倒されました。楽曲も音も…

長編小説としての ブレイキング・バッド と ベター・コール・ソール 

はじめに 見ていてつらくなるほど素晴らしかった、ブレイキング・バッド www.breakingbad.jp 見ていてつらくなるほど素晴らしい ベター・コール・ソール www.bd-dvd.sonypictures.jp 普段みている海外ドラマとは一線を画す(と感じさせる)このドラマ。絵も…

岩波文庫より井筒俊彦さんの著作が立て続けに刊行された狂喜

はじめに 偶然立ち寄った本屋の岩波文庫のコーナーで見つけたのは、図書館の検索で「該当なし」だった、井筒俊彦さんの『神秘哲学 ギリシアの部』だった。そしてその隣には、『意味の深みへ 東洋哲学の水位』と『コスモスとアンチコスモス 東洋哲学のために…

だって~ わたしたち~ アンジュル部ですからぁ~~

はじめに アンジュルム DVD MAGAZINE vol.21 「飛び出せ! アンジュル部!」は、見れば見るほど面白いなと、思います。「学園コント」と銘打ってはおりますが、楽屋やコンサートのMCなどの雰囲気そのまんまという感じがしました。 youtu.be さきごろ、新体…

『意識はいつ生まれるのか』―「いつでしょ!」

はじめに 『意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論』は、2015年5月25日に第一刷で、同年7月10日に第三刷までいっている、人気のある本だったらしい。 「いつ生まれるの?」「今でしょ!!」(え~~~~ 今さら……) ……結論からいって、「いつ」…

ざっくりさん講読7 「ミリンダ王の問い」8.第七章 (第一編完)

第一 十六種の記憶形式 ミリンダ王(以下ミ)「記憶っていうのは、いくつの出来方があるのかな?」 ナーガセーナ(以下ナ)「十六種類さ。一個ずつ説明しようか?」 ミ「是非」 ナ「①自覚的回想 ②外部からの助成 ③強烈な印象 ④しめしめ、という気持ち ⑤損し…

真如はなぜ分節する性質を持つのか ―『意識の形而上学』が竜を呼んだこと

はじめに 『東洋哲学覚書 意識の形而上学 ―大乗起信論の哲学』井筒俊彦著 を読んで、新たに拓けた知見について記す。 問題意識 こうした本を読むとき私はいつも以下の問いを解決したいと考えている。 「真如はなぜ分節するのか」 真如の私的定義 私にとって…

今の「こぶしファクトリー」の歌が泣けるほど好き

はじめに 今週は『意識の形而上学』を読んで、意識や、真如がなぜ自己文節する性質をもっているのか、についてとことこん考えようとしていたが、とくにこれというきっかけもなしに、無性に、「今の五人のこぶしファクトリーの歌が好きだあ」と、言っておきた…

『生存する意識』読書メモ -臨床的な意識とは

はじめに 『生存する意識 植物状態の患者と対話する』エイドリアン・オーウェン(柴田裕之訳) 2019.9.18第一刷 みすず書房 を読んだ。 この副題を読んで即座に思い出されるのは、世にも奇妙な物語で、竹内結子さんが主演した『箱』である。 www.youtube.com…

World tapir day 4/27 ―世界バクの日

第一部 実在バク編 はじめに バクが好きだ。 pz-garden.stardust31.com バクは現在五種類が確認されている。 jp.mongabay.com そのすべてが「絶滅危惧種」だ。 www.afpbb.com とりわけマレーバクが好きだ。 アジア圏に生息するのはこのマレーバクのみ。 ja.w…

誤字脱字の無表情さ ―脳内細菌としての文字

はじめに 私の書くものには「誤字脱字変換ミス」が非常に多い。それは、書くときも読むときも、一文字一文字を見ているわけではないからだ。一文字毎に引っかかっていては、「意味・文脈」を捉えることが困難になる。だが、それに気づいたときにはとても恥ず…

ケンカをやめて 俳人蕪村 vs 郷愁の詩人与謝蕪村

はじめに 1927年6月ー7月に伊豆湯ヶ島に逗留していた文士を調べていて、萩原朔太郎さんのことが気にかかり、『ちくま日本文学全集 萩原朔太郎 1886-1942 筑摩書房(1991年10月20日 第一刷)』を読んでいたら『郷愁の詩人与謝蕪村』(以下『郷愁の』)…

ざっくりさん講読6 「ミリンダ王の問い」7.第六章

第一 出家者の身体感 ミリンダ王(以下ミ)「出家した人って身体が資本だと思ってるでしょ」 ナーガセーナ(以下ナ)「べつに」 ミ「でも君ら、けっこう規則正しいヴィーガンっぽいじゃん」 ナ「君はさあ、矢とか刺さったことあるべ」 ミ「戦場においてはね…

満月を半月の二倍と捉える忙しなさ ―蓮實重彥さん『表層の奈落』以前

はじめに 「好奇心」が問題なのだ。誰もがそれを肯定しあまつさえ推奨さえしながら「好奇心」の対象如何によっては眉をひそめ「品性下劣」の烙印を押されるのが当然とされる世間には良い「好奇心」と悪い「好奇心」とがあり、それは「好奇心」の向けられる対…